区の判断で住民基本台帳閲覧に厳格な規制を

第三回定例会での一般質問より

   本年4月「個人情報保護法」が施行された一方で、1967年からの制度である「住民基本台帳の閲覧」は今なお実施されています。住民の住所・氏名・生年月日・性別は「何人でも閲覧できる」とされ、この4項目はリスト化された上で、地域ごとのファイルになっています。リストは住所順・世帯順に並んでいるため、家族構成も容易に把握できます。閲覧目的の8割はダイレクトメールや訪問販売などの営業目的です。振り込め詐欺やリフォーム詐欺などは高齢者家庭を割り出した上での犯罪であり、また今年の3月には名古屋市で、閲覧によって、ひとり親と少女、二人暮らしの家庭をチェックした男が、親の留守中に少女に性的暴行を加えるという事件も起こりました。制度の悪用による被害は増加する一方です。区では4月に要綱をつくり、閲覧希望者に書類を提出させて事前審査をする、これまで2席だった閲覧席を1席にするなど対応強化を図っています。しかし、条件をクリアし、30分1000円という料金を支払いさえすれば、9時から4時半まで一日見続けることができ、内容を書き写すことができます。
   9月21日、国は現行制度を廃止する方針を示し、改正法案を来年の通常国会に提出する見通しです。法改正には約1年かかるとみられ、改正を前にした駆け込み的な大量閲覧のリスクが懸念されるところです。行政が強制力をもって収集した住民の個人情報を、本人の同意を得ず切り売りしているとも言える状況は一刻も早く改めるべきです。国の法改正を待つのではなく、自治体の判断で即刻、区民の不安を解消するため、大量閲覧を認めない措置を講じるべき、とただしました。

⇒区長答弁「法律の枠組みの中で対応している。国の動きを見ながら適切に対処する。」

二次質問では「閲覧事務は自治事務であるから自治体にこそ責任がある。近隣でも閲覧を厳重に規制する自治体が増える中で、江戸川区が格好のターゲットになるおそれもある。自治体は国に向かって仕事をするのではなく、住民の立場に立つ姿勢こそが大事。区として区民の安心安全を最大限守るため、公用・公益以外のものは一切認めない、という強い対応を求める。」と主張しました。

<江戸川区の閲覧実態>

閲覧場所  区役所及び地域事務所。6箇所  
閲覧用紙  所定用紙。(コピー保管)
回数制限  月に1人2回まで。       
手数料   時間割。30分1000円      
予約    要
閲覧日時  月〜金。午前9時〜正午と(*)午後1時〜4時半。1単位は半日。 
事前書類  事業所確認書・DMなどのサンプル・誓約書など7種類
昨年の実績 1392件
昨年の内訳 営業活動(634)市場調査(392)公用・公益(207)世論調査            
(49)学術調査(26)本人又は同一世帯者(2)その他(82)

*請求があり、支障がなければ午前に引き続き正午から1時までも可能。

<すでに独自の判断で公用以外の大量閲覧を認めない都内の自治体>

条例制定 新宿区・杉並区・調布市・小平市・小金井市
緊急対応 千代田区・葛飾区・江東区・足立区・渋谷区・板橋区