小学校図書館に専門司書の配置を!

代表質問③ 大きな教育効果が期待されるが・・

→整備がすすみ、利用も増えた小松川第二小図書館。保護者による図書ボランティアの方々が、図書整備の専門家の指導を受けつつ、3年かけてつくり上げた。(7月)

「学校図書館」の充実に向け、専門司書の配置について質問する。
教室でよく見かける目標に「よく考えて行動する子」という目当てがあり。よく考えるためにはまず何が必要かといえば、それは言葉、語彙力ではないかと考える。言葉はコミュニケーションの道具であると同時に、考える道具。言葉をよく知っている人は広く深く考えることができる。では、言葉をよく知るためには何が大事かといえば、それは活字に親しむことに他ならない。
子どもたちにとって活字に親しむいちばん身近な場所といえば、学校の図書館であり、その整備は不可欠。学校図書館の中には、本の整理もままならないところがある一方で、保護者の有志による図書ボランティアが、本の修理や整理、読み聞かせや部屋の飾りつけなどに力を発揮している学校がある。どちらがより利用されるかは明白であり、学校に必ず置かれているこの施設には差が生じている。また、学校には司書教諭という立場の先生がいらっしゃるが、学級担任や教科担任と兼任されており、日常的に多くの事務作業も抱える中では、十分な図書活動を行うには難しい状況にある。
このところ、子ども達の学力低下が問題視され、文部科学省は指導要領の範囲を超えた「発展的な学習」や補習、宿題を奨励するようになった。江戸川区でもサタデープロジェクトや家庭学習キャンペーン週間などを展開している。こうした丁寧な指導に加え、すべての学科の基本となる図書活動の推進に力を入れることで、教育活動をより発展させていってはいかがか。
今の時代、ゲームや動画に向きがちな子ども達を、本の世界にいざない、知的好奇心を刺激し、「また図書館に行こう」と思わせるには、魅力的な働きかけはどうしても必要になる。従来の基礎学力に加え、調べ学習や総合学習など、子ども達の学びの質にも変化が見られるようになり、与えられた課題をどのように解決していくか、その処理能力も重要視されている。おびただしい量の情報から、自分が必要とする情報を選び出すことを身につける場としての機能が求められるところだ。また、蔵書管理をパソコンで行えば、本の貸し出しや返却、検索を通してIT教育にもつながっていく。
こうしたことから、単に図書館があり、本が並んでいるだけでは、有効活用には至らず、本と子どもの間に専門の人がいてこそ学校図書館は活性化し、ひいては子どもの豊かな育ちにつながるものと考える。
専門司書が常駐していれば、図書活動だけでなく、いじめなどに悩む子どもの身近な相談に対応することができ、保健室同様、つらい思いを抱えた子どもがほっとできる居場所になりえる。さらに、授業に必要な資料を司書がそろえるなど、教育活動をスムーズに進め、教師の力量を高めるサポートをすることもできる。専門司書の存在は子どものためのみならず、多忙を極める現場の先生方の強い味方にもなる。キャリアの浅い、若い先生が多い江戸川区では、その連携が大いに期待される。こうしたハード面、ソフト面での整備は、各地から注目を集める重要事業「すくすくスクール」の活動場所としてもプラスに作用するだろう。
「7歳の子どもの読書の量が、20年後のわが国を決定する」と言ったのは、公立学校再生に成果を上げたイギリスのブレア元首相。よく考えて行動する子は、よく考えて行動する市民へと成長していく。今の子どもたちに必要だと言われている「生きる力」を養うためにも、図書館と子どもをつなぐ専門司書の役割はきわめて重要だと認識する。まずは小学校への配置についてぜひ取り組んでいただきたいと考えるが、教育長のご見解を伺う。

教育長答弁⇒従来どおり、司書教諭を中心にボランティア活動をすすめていく。専門司書配置の考えはない。

「ボランティアに頼るのでは安定した教育活動は難しい。また、司書教諭は1校に複数いるところが多いが、現状で図書活動が活性化するならどこもすでにできているはず。国の方針も教員が子どもと向き合う時間を確保するため、増加の方向へと転換し、心の問題に取り組むため養護教諭も増やすと聞く。今、学校には子どもに関わる専門の人材が必要だ。区のすべての学校にある図書館という資産を、専門司書を置くことでその教育効果を高めていく、といった視点にぜひ立っていただきたい。」と要望しました。

↓図書館整備について、江東区から話を聞きにきた保護者の方々に対応する二小松小のボランティアリーダー。子どもをひきつける工夫が満載の図書室だが、蔵書管理はノートに手書き。専門司書の配置が待たれる。