区立コミュニティ会館条例改正に反対

2007年10月25日 10時29分 | カテゴリー: まちづくり

第3回定例会報告①

 来年2月開館予定の「江戸川コミュニティ会館」(江戸川2丁目)は、土地所有者がコミュニティ会館仕様の建物を建て、区が30年間にわたり賃貸借契約を結ぶというもの。
  ここにいたる経緯は、平成4年から平成9年にかけて行われた江戸川清掃工場(江戸川2丁目)の建て替え工事に遡ります。340億円という巨額の立替予算の1割をもって、当時、都が地元に還元施設建設を約束していました。しかし、地元に適地が見つからず、瑞江駅近くに「東部フレンドホール」(瑞江二丁目)を建設することに落ち着いたのです。が、「やはり本来の地元に施設をという声が根強く、引続き土地を探していたところ、今回の契約になり、10年来の悲願が達成できた」というのが総務委員会での区長答弁です。

  現在、「中央図書館」も借地活用ですが、建物は区が建設。また「コミュニティプラザ一之江」は4階の1フロアのみを賃借。今回のように、相手方がわざわざその目的のためにつくる施設を丸ごと借り上げるというのは初めてのことです。地域要望にこたえるための、集会室3部屋の他、小中学生は無料のレクリエーションホールも有するコミ館とはいえ、大きな問題がひとつ。その土地所有者とは現職自民党区議の長男の方で、区が公にする直前に区議本人からその土地が長男に譲渡されているのです。区と結ばれる賃貸借契約は、年間2390万円、30年間の総額は7億1800万円に上ります。区は、契約の相手は議員本人ではないため、「地方自治法」の「議員の兼業禁止規定(92条の2)」にはあたらず、「請負」にも該当しないため違法性はなく、倫理面でも何ら問題ない、としています。

 「兼業禁止規定」とは、議決権を持つ議員が、直接間接に事務執行に関与するものである以上は、議会運営の公正を保障するとともに、事務執行の適正を確保するために、自治体との請負関係に立つことを禁止しようとしたものであり、議員の身分保持の要件を定めたもの。
最初に規定されたのは、明治32年。当時、議員の地位は名誉職にあり、自己の営利活動にこの地位を利用することは許されない、とする倫理面から生まれています。しかし時代の流れの中で、昭和21年、議員が請負関係に立つことは特に弊害がないばかりか、社会経済の進歩を考えれば、広く人材を求めることが望ましい、として一旦廃止。さらにその10年後には、議員は請負契約の締結にあたり、団体意思の決定の一員として議事に参与するのみならず、議員が当該団体に対して及ぼす影響は少なくないことから、実際に各地で弊害が現れ、条例で請負契約締結禁止の措置を講じる自治体が増えてきたことで、昭和31年、この規定が復活した、という経緯があります。

 「請負」の意義についても、民法上の定めのみならず、地方公共団体に対して、物件・労力などを供給することを目的としてなされる契約をもすべて含むとされ、広く業務として行われる継続的な取引契約で、営利性を有しているものは「請負」に該当する、とも考えられています。

 江戸川区でも導入している「指定管理者制度」においては、「議員・首長の兼業禁止規定」などの定めがないため、私たちは3年前の代表質問で、「自治体として指針を策定すべき」と主張。現在も区の指針はないものの、個別の募集要項の中では、欠格要件として明示おり、違法ではないけれども、区が自ら襟を正している姿勢を評価するものです。

 このような時代にあって、この議案についてもさまざまな角度から検討しましたが、やはり納得できないのは、議員が利害関係人であるという点。今回の議決を待たず、すでに半年前の4月には建設に着工。合意のプロセスも不透明であり、この間の議会への説明も不十分です。政治倫理や税金の使い方を考えるとき、江戸川区の今回の判断には疑問を拭い去ることはできません。住民要望があること、また違法ではないことをもって、これをよしとしている区の姿勢そのものが大きな問題であり、私たちネットはこの議案に反対しました。

  以下は、議案審査における総務委員会での質疑。答弁は、主に生活振興課長。一部、区長。私は委員でないため傍聴。(*)は私見。

① なぜ、買い取らずに賃貸借契約なのか→買い取ると1億以上高くなる。
(*契約者は土地を手放さず済む)
② 契約額は妥当か→不動産鑑定士により、1㎡あたり2460円としており、妥当。「一之江コミュニティプラザ」に比べても69%の額。
(*一之江は駅ビルで、価値がそもそも違うはず)
③ 昨年6月には会派説明があったにもかかわらず、19年度当初予算に計上されず、今回、補正予算が組まれたのはなぜか→昨年末、予算を組む時点では財産鑑定なども含め、準備が整っていなかった。(*ちょうど統一地方選と重なる時期でもある)
④ 契約者が負担する建設費はいくらか→賃借料は建設コストから割り出したものではない。区は預かり知らないこと。(*費用は3億強。この場で答えるべき)
⑤ この土地に根抵当がついていることへの見解は→契約書には契約解除の項目を盛り込む。しかしたとえそうなっても、敷金は支払わず、賃料も単年度ごとなので、区が金銭的な損害を被ることはない。(*しかし、利用者の区民は不利益を被る)
⑥「地方自治法92条の2」議員の兼業禁止規定についてはどうか→相手方が議員の息子であるので問題ない。労務契約の対価とは区別でき、請負には該当しない。
⑦ 倫理面における見解は→そもそも住民要望があってのこと。何ら問題はない。