循環型社会への道険し「資源化なき焼却」

生活振興環境委員会陳情審査報告①

→昨年視察した環境先進市・水俣市では、焼却から資源化へと舵を切った。ストックヤードの廃プラスチック。   

  2月7日の生活振興環境委員会で、サーマルリサイクルに関連する2本の陳情に対し、会派の意見開陳が行なわれました。いずれも会派で意見が分かれ、私たちは1本は一部採択、もう1本は趣旨採択としましたが、、採決の結果、どちらも「不採択」となりました。私が発言した内容についてご報告します。
 
 現段階における廃プラスチックの焼却については、大きく2つの課題があると考えています。
 まず、環境の世紀といわれる21世紀型のライフスタイルへの転換ということ。今までは資源を使い放題使って大量にものを生産し、大量消費して、大量廃棄してきました。その結果、最終処分や環境負荷について待ったなしの状況に追い込まれたので、それを見直して、ごみになるものを極力発生させないライフスタイルに変えてくことが必要になっています。そのためにはやはり3Rの実行です。しかし、優先順位の高い発生抑制や再使用は依然としてすすまず、23区全体で見ると、資源化の努力義務が十分でないまま、これまで不燃に分別していたものまで何でも焼却、さらにその熱を電力リサイクルすることが先行すれば、生産者の発生抑制も効かなければ、市民のリサイクル意識も低下してしまうことになり、ライフスタイルの転換は望めなくなるおそれがあります。そうなれば、いつまでたっても「資源循環型社会形成基本法」が目指す社会に行きつきません。

 次に、これまで不燃だったものを含む大量焼却によって、工場で新たな有害物質発生や安定稼働への不安がぬぐえないということ。清掃工場の安全性については万全だとの報告もありますが、全国的に見ると、他の自治体では焼却へ流れた結果、クリンカの発生などで焼却炉が稼働停止に追い込まれ、やっぱり資源化こそ大事ということで方針転換している例も少なくありません。江戸川区では来年度、廃プラ資源化に7億円を投入して自治体の責務を果たす方針ですが、いまだ13区では資源化の方向性が示されず、800万人を超える23区民が出すごみ量を考えると、未知の領域に入るということでは、不安を覚えるのは当然というものです。
 ただ「実証確認をしないように」という陳情部分については、サーマルを方針化した以上、この実施は避けて通れず、実施の判断基準や運用ノウハウ、あるいは今後の見直しなどにもつなげていく基礎データとして必要だと考えるため、これ以外については願意妥当と判断し、第3号「『廃プラスチックの焼却処理と熱回収』に関する陳情」については一部採択としました。