子育ちの最終ステージを応援する貸付制度を

2008年度予算特別委員会報告①

→委員会の様子。議員席左から江副委員、稲宮。中央が多田区長。

  2008年第一回定例会では、2008年度の予算を審議する予算特別委員会が開かれ、会派を代表して私と江副区議が委員として出席しました。

  新年度の新規事業は25、拡充事業は84で、一般会計は1977億円、新たな「後期高齢者医療」を含む4つの特別会計の合計が1063億円です。先行き不透明な社会情勢にあって、本区は基金残高を915億に増やし、区債残高を197億に減少させるなど堅実な財政運営となっていますが、これは行財政改革の成果とともに、本区の歳入の中で44%を占める都との財政調整交付金が、好調な法人住民税に支えられて延びていることが大きな要因です。特別区税も納税義務者の増加や徴収率のアップにより、来年度は5.3%増の504億円が見込まれています。
  行財政改革の中で民営化や非常勤職員の増加がすすんでいますが、格差社会といわれる今日、区民の暮らしの平等をどのように捉え、どのような手段において実現するのか、改めて深く議論すべき、と主張し、各会計予算案に賛成しました。

  8日間の審査を通し、述べてきたネットの意見をお伝えします。

●奨学金制度の拡充
  本人が社会的自立を見据えた時期の、当事者支援の観点での新たな貸し付けの考え方を持ってはどうか。親の経済力に左右されず、チャンスを得るための支援策は、若者の自立に必要不可欠。意欲や目標を持つ若者本人に対し、自立に向けた最終ステージを応援する奨学金貸付制度の実現を。

●多重債務者対策の強化 
  税の徴収員は、その人の生活状況、特に多重債務などの状況を把握する立場にあることから、生活再建に向けた道筋へとつなぎ、納税者へと移行させていく取り組みを。消費者センターにおいても生活再建につながるネットワークの構築を。

●非常勤職員の処遇改善
  「地方公務員法」にいうところの「非常勤職員」の考え方は、「臨時的な専門業務に従事する人」ということだったが、これは半世紀以上前にできた法律であり、当時は想定していなかった働き方がなされるようになっている。常勤より安い賃金で、かつ長く採用しない「非常勤」ではあっても、今では「一般職と同様の業務に従事する公務員」と言った方が現実に即している職種も存在し、現状は法律では説明のつかない状況にあることも事実。 
  2008年度に5年目を迎える区の重要事業「すくすくスクール」の要であるサブマネージャー(児童指導員)も同様で、常勤職員のみの学校が15校、非常勤のみが9校、常勤と非常勤の組み合わせが50校ある。非常勤サブマネの上限は5年(1年雇用を5回繰り返す)だが、延長可能にした場合、キャリア6年目になる人の処遇は1年目の人と同じでいいのか。これを機に、非常勤の昇給・昇格など新たなしくみをつくり、安定した働き方を保障することで、公共サービスの質を担保すべき。