一組試算と乖離する23区サーマルリサイクルのCO2発生

第二回定例会一般質問報告③

→行政と市民の意見交換会「となりの区はどうしてる?プラスチックは資源じゃないの?」。資源化に向けたさまざまな意見が出された。(6/6)

温暖化対策の観点から、23区のサーマルリサイクルにおける温室効果ガスの排出について質問する。

区は、焼却による温室効果ガスの増加については、熱回収による発電分の削減や埋め立て処分場から排出されていたメタンガスの削減分に加え、運搬距離も短縮されることから、ほぼ相殺されると説明し、23区清掃一部事務組合も7千トンの微増に過ぎないと試算している。この算出根拠は「可燃ごみに占めるプラスチックの混入率」と「ごみ量」に基づいたものであり、その混入率を約10%と割り出したことが前提になっている。実証確認結果が公表されている19工場のうち、10%以下は3つの工場のみで、江戸川清掃工場は13.47%、高いところでは17%台が3工場、18%台も2工場ある。さらに、一組は可燃ごみと不燃ごみの区分が変わった結果、増える可燃ごみ量増加率を約9%程度と想定しているが、資源化推進区である江戸川区でさえも今年4月における可燃ごみ量は、昨年同月比で、一組の予想より6%高い15%の増加。

なぜ一組の試算にこのように大きな誤差が出てくるのか調べたところ、7千トンの微増としている根拠は、容器包装リサイクル法に則ったプラスチックの資源化を全面展開している横浜市や名古屋市の資源回収実績を参考にしていることがわかった。23区全体が徹底分別に取り組まなければかなわない数字だが、現在全区で資源化しているのは6区、モデル実施が5区、ボトルやカップなど一部のみ実施が3区。資源化に着手しないままにサーマルリサイクルを行なっている区もすでにあり、この秋にはさらに全量焼却の区が増える見込みだ。

現在開会中の東京都議会には大規模事業者へのCO2削減の義務が盛り込まれた「東京都環境確保条例」の改正案が上程されている。東京から世界に向けて、新しい環境都市のあり方を示すために「カーボンマイナスムーブメント」を起こそうとしている今この時、資源化を各区の考えに任せるという現状で果たしていいのか? やはりここは東京都と23区、そして一組とがしっかりと連携し、改めて23区のプラスチックリサイクルのあり方に向き合うべきと考える。
23区区長会会長でもある多田区長の見解を伺う。

区長答弁⇒23区区長会は、サーマルをやる前提として資源化をやらなければサーマルをやる意味がないのでしっかりやることを意思統一しているわけだが、いろんな事情でできない区もあることは確かである。私どもも、一組と23区区長会は表裏一体であるから、一組の中にも経営委員会という区長会の代表者が入ってやっているのであって、常にこのことは議題になっている。区長会の会長としてのリーダーシップをということだと思うが、他の区長にやりなさい、と命令できないというか、区長にやりましょうと確認はしても、いろいろ問題はあるわけで、その区の自覚を促すということになる。ただ、サーマルが始まったので、こういうことではまずいですよね、ということは話し合っている。江東5区においても足並みはそろっていない。この区とこの区のやり方が違うということはまずい。一緒にやっている以上、私も陰に陽に、資源化は資源化としてしっかりやるということを、23区が早く足並みをそろえられるように私も努力をしたいと思う。

 23区サーマルリサイクルは、「東京都廃棄物審議会」の答申を受けて、埋立処分場の延命と資源の有効活用の観点から実施することになったものであり、広域自治体である東京都の協力支援は欠かせないと考えます。区長会においても、まず資源化に努力し、次にサーマルという23区の申し合わせ事項を確実に実行するために、早い段階での修正に向けさらに努力することが必要です。