問われる「協働」のまちづくり

2009年2月8日 12時27分 | カテゴリー: スーパー堤防

「北小岩スーパー堤防事業」集中審査より①

→関東大震災級の地震にも耐えうる(旧建設省説明)北小岩の現在の堤防。土だけでなく連接ブロックが埋め込まれている。  

2日の建設委員会では、区が北小岩に計画しているスーパー堤防事業についての集中審査が行なわれました。計画エリアは江戸川沿川の延長2.2km、面積48haで、事業費は1700億円が見込まれています。2940世帯、6755人が暮らしており、これほどの住民の移転を前提としたスーパー堤防事業は国全体でも例がなく、計画とは言っても、平成18年に区が策定した「江戸川区スーパー堤防整備方針」の中に「事業化のために準備中のエリア」として示されている段階であり、具体の事業計画はまだありません。

  委員会には、事業の見直しを求める陳情が6本上がっており、総署名数は7000筆を越えています。その主な内容は、①「スーパー堤防は住民の意志を無視してまですすめない」という議会答弁を履行し、撤回を求める②お寺や神社、史跡が多く残されている土地であり、寺社の移転は再建も含め困難を極め、寺社を中心とした地域社会がこわされてしまう③生まれ育った地域で最後まで暮らしたいと願う住民、自然が豊かで子育て環境がいいと移り住んできた住民に移転を強いるような事業は受け入れがたい④北小岩のスーパー堤防では67万区民の安全は守れないことは国土交通省の資料でも明白であり、莫大な税金の無駄づかいになる、というもの。

  私はまず、北小岩を事業化準備エリアとした理由について、改めてただしました。
  平成11年に区が策定した「都市マスタープラン」では、区内を6つのブロックに分け、今後のまちづくりの課題や方針を示しましたが、4つのブロックでこの事業が何らかの形で触れられている中で、小岩はこの事業が示されていないブロックのひとつであり、特に北小岩は「良好な環境を保全する」と総括された地域の多いところです。これは、すでに昭和6年に耕地整理が行なわれたことで整然とした街区になっていた、また、区内でも地盤が高い地域であることによるものです。さらに、13年につくられた国交省の「江戸川沿川整備基本構想」にも北小岩は含まれていないにもかかわらず、わずか5年後、区の「スーパー堤防整備方針」に初めて北小岩が登場したことについて、「都市マスタープラン」という区の上位計画や国の「基本構想」との整合性がない点についての説明を求めました。
  しかし、回答は「都市マスタープランには区全体の事業の必要性を示しており、理解が得られるもの」というだけ。「なぜ北小岩か」という整理にはなりませんでした。

  そもそも「都市マスタープラン」が都市計画法に則ったまちづくりの基本計画であるのに対し、区の「スーパー堤防整備方針」は法に沿ったものではなく区が独自につくったもの。大事なことは地域で決める、これはネットの主張であり、もちろん異論はありませんが、であるならばなおのこと、地域住民の意見が反映されるべきであり、住民の疑問にも明快に答えられなければなりません。また、区として「整備方針」をつくるならば、「都市マスタープラン」改訂の手続きも同時に行なうべきではなかったでしょうか。

  昭和63年というバブル期に創設されたスーパー堤防事業は、国と自治体(または企業)の協働事業ですが、国は平成7年改正の「河川法」に定められた「河川整備計画」すら立てられていない状況です。河川工事着工に必要なこの計画をいまだ持てない国の姿勢(この計画ができるまでは旧法中の計画が本計画とみなされる)、その一方で、「整備方針」をつくり、事業計画のないところでも、見直しの声もある中で、事業遂行のために土地の先行買収をすすめる区。時代が移り、河川事業費も平成8年のピーク時の半分近くに削減され、大規模公共工事のあり方が見直されている今日、国と区のこのアンバランスは大きな不安材料でもあります。

  区は、ゼロメーター地帯にとっては最善の事業、としていますが、防災対策としては他の工法も考えられるところであり、愛着のあるまちの姿を大きく変えることなく、住民の意識を高めることで安全を確保していく方法もあります。
  専門家の意見はもちろん重要ですが、同じようにそこに生活する人の意見も大切にしなければなりません。それでこそ、区民との協働のまちづくりです。この大事な部分の調整がなされないままに、ことがすすめられようとしているのがいちばんの問題です。まだ事業計画もないエリアであり、ゼロベースから住民と対話をし、住民意見を反映させたまちづくりにする、その姿勢が区に求められています。

↓スーパー堤防ではない堤防強化工事は着々と進行中。左は江戸川右岸・篠崎で現在実施中の大規模な緩傾斜堤防工事。右は荒川船堀橋右岸・小松川。防災時に一般道路から河川敷道路へアクセスできる物資輸送路整備が昨年末から行われている。同時に緩傾斜堤防工事も。この工事により、完成していた小松川千本桜の一部が抜かれて別の場所に移植される。