化学処理工場 + 発電所 = 清掃工場

2008年度決算特別委員会報告②

 環境費2つ目は、清掃工場の安全性と環境への影響について質問しました。

 昨年10月から23区全域でプラスチック焼却を始めたことで、ごみの質と量が急激に変化、清掃工場を安定稼動させるためには薬剤の投与を増やさざるを得なくなっています。その結果、ダイオキシンや水銀濃度が上昇するなどして、焼却を停止するケースも増え、現場に混乱を招いているのが実状です。そこで、清掃工場での薬剤使用量について資料請求しました。

 資料によると、消石灰はサーマルリサイクル(プラスチック焼却による発電)を始める前の2倍以上、重金属固定剤は4倍以上にもなっています。
 消石灰は、塩化水素を取り除く役割がありますが、プラスチックの大量焼却による塩ビの増加で、ダイオキシン対策強化のために使用。 重金属固定剤は、飛灰を溶融固化できないときに投入し、重金属と薬剤を混ぜ合わせて固定して、重金属の溶出を防ぐ目的で使用されていますが、灰溶融施設のない江戸川工場でなぜこれほど投入されているのか、その説明を求めました。

 先月には、清掃工場の雨水調査について市民団体が情報公開請求したところ、練馬工場で、環境基準を上回るダイオキシンが検出されていたことが明らかになりました。工場廃水とか排ガスとういことではなく、工場の側溝にたまった雨水からということで、工場周辺の環境が悪化していることを示すものです。サーマルが始まって、ダイオキシンや重金属の溶出をなんとか食い止めようと、以前より薬剤が大量使用されているのは事実。清掃工場の安全性と環境への影響について、現状の認識をただしましたが、安全に問題なし、とのこと。
 
 23区の清掃工場は今や単なる焼却工場ではなく、化学処理工場。さらには、柏崎刈羽原発1基分の電力量の4分の1をつくるほどの発電所でもあります。大都市に点在する清掃工場の安定運営のためには、焼却を減らす努力、具体的には、やはり23区のプラスチック資源化のさらなる拡大と、金属類は不燃ごみにきちんと分別することが重要です。たとえば、不要な針金ハンガーを可燃ごみにしていませんか? ビニールコーティングされているだけで、これは不燃ごみ。焼却しきれず、工場内の炉にべったりと張り付いています。
 清掃工場については、焼却工場という意識ではなく、23区と連携して、資源循環型社会に貢献する工場にしていかなければなりません。