公共事業チェック議員の会、区のスーパー堤防事業を視察

地元住民と意見交換も

→北小岩の寺院で住民の話を熱心に聞きメモをとる「公共事業チェック議員の会」のみなさん(手前)。マスコミの取材も。 

 24日(木)、超党派の国会議員で構成する「公共事業チェック議員の会」(会長・松野信夫参議院議員、事務局長・大河原雅子参議院議員)が、スーパー堤防事業視察のため、バスを仕立てて江戸川区を訪れました。総選挙後、新メンバーになって第一回目のチェック事業に、本事業が選ばれたということになります。

 まず、整備済みの平井7丁目に。1.2haの事業地の中で、仮移転の後、地元に戻った住民は38人(52.8%)、戻らなかったと確認されている住民は30人(41.7%)、不明4人(5.5%)。スーパー堤防事業により、多くの方々が住み慣れた地域を離れざるをえないと選択したことが判ります。一行が驚いたのは、川の反対側に位置する街側の外壁の高さ。スーパー堤防の対象エリアとなっていた国家公務員住宅が建て替えの時期ではないことを理由に移転せず、その直前で4〜5mほどの断崖絶壁となっている状況は、誰が見ても危険な街並みです。しかし、この景観は国や区の事業説明ではもちろん触れられていません。

 次に、現在事業中の小松川2丁目先へ。ここは東京都の再開発事業地であり、すでに平成18年には概成したとされたところ。堤防、道路はもちろん、小松川千本桜も整備されながら、区立中学校及びマンション建設に合わせ、新たにスーパー堤防化することに。そこで、新しい道路には、すでに一箇所、小松川防災拠点下で実施されているボックスカルバートという工法を採用、盛り土の途中をトンネル化するという道路整備がなされました。これは篠崎地区のスーパー堤防事業でも計画されています。「堤防高さの30倍の幅で、緩やかな傾斜をつけた盛り土をすることで高規格堤防にする事業だが、その途中に道路のための空洞を設ける形は、高規格堤防の強度を弱めることにならないのか」との質問が出ましたが、国土交通省の説明員は何ら根拠も示さず「それは大丈夫です」と回答。ここでも合理的な説明は聞かれませんでした。

 篠崎地区では、反対運動の住民代表となっている寺院の住職ご自身が状況を説明。地元のみなさんからはノンアルコールの甘酒が振る舞われました。すでに事業用地として買収された用地なども見学しつつ、北小岩へ移動。小岩菖蒲園前の堤防に立った一行は、河川敷の広さに目を見張り、その後地元の寺院で60人の住民と意見交換をしました。住民は、地域の堤防が決壊したことは一度もないこと、すでに過去の耕地整理で整然とした街並みであること、バブル期の計画であり行なうべきでないこと、などを直接訴えました。

 参加した議員全員が最後に挨拶。「八ツ場ダム問題にずっと関わってきた。無駄な公共事業は中止する立場で頑張っていく」(大河原雅子参議院議員)「公共事業によってコミュニティを壊すことのないようにしたい」(岡崎トミ子参議院議員)「ここは南総里見八犬伝にもゆかりのあるお寺。700年、1000年の歴史を持つ寺社もある。不要な事業は絶対中止させる」(小池あきら参議院議員) さらに、地元選出の初鹿明博衆議院議員からは「宇宙人からの攻撃に対して兵器を用意するような荒唐無稽な事業。前原大臣にも中止すべきと伝えてある」など、住民には大変心強い言葉が聞かれました。

 政権が変われば政策が変わり、政策が変われば社会が変わる—。
 区は来年早々、11月に都市計画決定した北小岩一丁目東部地区の換地処分についての説明会を行なうとしていますが、国との共同事業である以上、少なくとも一時凍結も視野に入れ、行政主導ではなく、住民の意思を反映するまちづくりへと転換していくべきです。

↓視察団は議員7名、秘書を含め総勢20名。現地説明は国土交通省と住民、双方からなされた。北小岩の堤防にて。(右)区議会からも超党派で8名が同行。会派の木村長人さん(左)と。