スーパー堤防は地元住民の合意が大事by国交大臣

2010年度予算特別委員会報告⑤

 2月25日の衆議院予算委員会では、みんなの党の柿沢未途議員がスーパー堤防事業を止めるべきとの立場で、公共事業の見直しについての質問をされました。昨年の秋、国土交通委員である柿沢議員のもとに、地元住民の方が陳情に出向き、暮れには公共事業チェック議員の会の一員としてもくまなく現地視察をされ、地元の声をしっかり受け止めた上での質問です。

 区の予算特別委員会土木費の審査では、土木部長がこのことを紹介。「柿沢議員の質問に対し、前原大臣はスーパー堤防をすすめるべき、と言っている」と驚くべき答弁をしました。前原大臣は確かに、基本的なこととして「治水事業は国が責任を持って行なうべき。特に首都圏を水害から守ることは重要」と答弁していますが、そのためにスーパー堤防事業が必要などとは言っていません。土木部長はその総論部分を引用したわけですが、北小岩という個別のポイントに絞った質問に対して大臣は「国土交通省河川局がやりたいと言ってできるものではない。やはり地元の協力、理解がなければできない。江戸川区からは区の行政としては進めるとの話だが、その点、地元住民の方々のさまざまなご意見をどう調整していただいていくのかといったところが大きなポイントになるかと思う」と答弁しているのです。区が本事業の必要性を説明するにあたって「国の事業だから」と言ってきたのに対し、国はこれまでも受け身の立場との認識であることを報告してきましたが、改めてそれが確認された答弁です。部長の発言に対して、私はこの部分を引用し「そのように区が解釈していることを知ったら、大臣も柿沢議員も驚くだろう」と対抗しました。この国会質疑からなぜそのような勝手な解釈が成り立つのか。八ツ場ダムの反対討論に対する区の見解も理解に苦しむものでしたが、今回も同様です。

 また、前回紹介した「まちづくりニュース」には、住民との質疑の様子が掲載されていますが、「他の工法は考えられないのか」という質問に対し、区は「スーパー堤防に代わる工法は現段階ではない」と断言しています。が、現在、国では今後の治水対策に関する有識者会議がもたれており、その結果が公表されるのは夏ごろ。この中では、当然堤防についても新たな見解が示されることもあるでしょう。現段階においても、住民の生活を大きく変えることなく、堤防強化を図る工法はあり、新潟大学名誉教授の大熊孝さんは、比較的費用も安い連続地中壁工法を具体的に挙げていらっしゃいます。

  先日、議運で視察した大分市議会では、市長提案議案については、徹底的な説明を求めており、その中には「検討した他の政策案等との比較検討」という項目も入っていました。公共事業のあり方が大きく問われる今「スーパー堤防ありき」はもはや通用しません。

 こうした状況にある以上、区としても今大きく動きをすすめる時ではない、と意見を述べました。