江戸川河川敷での抑草剤実験、その安全性は?

まずは周知の徹底を

 国土交通省江戸川河川事務所は、公共事業費抑制により、堤防維持費が大幅に削減されたことから、年3回の除草工事が困難になるとし、「抑草剤」によって草丈を押さえることで除草の量を減らす実験を近々行なうことにしました。
 場所は、篠崎一丁目地先の江戸川堤防右岸10㌔付近の川裏(まち側の斜面)、本郷親水緑道起点付近。長さ50㍍、幅6㍍の間で、薬剤の配合を複数のパターンで区間ごとに実施、1年半かけてその効果を検証し、今後の維持管理に活かすという取り組みです。

 「抑草剤」とは、文字通り植物の成長作用を抑える薬剤。雑草を枯死させる「除草剤」が問題になったことがありますが、国交省によると、今回使用する薬剤は最近開発されたもので、農水省と環境省の検査及び登録を受け、安全性が確認されている、とのこと。

 しかし、この薬剤がこれまで使われてきたのは高速道路や民間のゴルフ場。民家に近く、不特定多数のひとがウォーキングしたり、寝そべったり、犬が散歩したりする河川敷で実施された例は、少なくとも荒川や江戸川ではなく、実施の理由からしても全国的にもおそらく初めてでは? 

 試験中は柵を設け、立ち入り禁止にするそうですが、なぜこんなに人が行き交う場所が選ばれたのか。所管の江戸川河口出張所に近いこともその理由のひとつだそう。江戸川河川敷は絶滅危惧種が生息する、都内でも貴重な場所。植物や人体、環境への影響は本当に大丈夫?

 公共の場で農薬や化学薬品をやむをえず使用する場合は、薬剤の名前を明示することが、特にアレルギーの方々やペットの被害を未然防止することにつながります。実験実施にあたり、河川事務所は十分な配慮をする必要があります。