スーパー堤防の盛り土は大丈夫?

豊洲新市場予定地は再調査をすることに

 東京都は今年1月から、豊洲新市場予定地での汚染物質の除去対策実験をすすめてきましたが、その実験結果について、「豊洲新市場予定地の土壌汚染対策工事に関する技術会議」(座長・原島文雄首都大学東京学長)は、今月2日、予定地の盛り土を再調査し、汚染土壌の処理を行うよう提言しました。

 その理由は、これまでの土壌汚染対策は、盛り土が安全であることを前提として実施されてきましたが、そうではなかったことが判明したからです。

 予定地の盛り土は2種類あり、ひとつは豊洲土地区画整理事業のために搬入された公共事業からの発生土と、それ以前に東京ガス㈱が搬入していた土。今回問題視されたのは前者で、東京都都市整備局が搬入時、その土壌を2000㎥ごとに試験を行うという内規を守っていなかったため、汚染につながったという点です。

 24日に開かれた都議会の質疑では「中央環状の工事に際して、シールド工法で地下を掘った土であり、土壌汚染の恐れがないと判断していた」ことが明らかに。今後は、60万㌧すべての土壌について、100㎥ごとに土壌汚染対策法に規定された特定有害物質調査を行うことになり、その費用は500億円に及びます。

 盛り土といえば、区が推進しようとしている北小岩と篠崎でのスーパー堤防事業には欠かせないもの。現在、事業認可に向けてプロセスがすすめられている北小岩1丁目東部地区では区画整理事業分の盛り土が3万4千㎥計画されており、その費用が3億4600万円。スーパー堤防事業部分については8万㎥予定されていますが(工法上、最終的に残るのは4万5千㎥)、こちらの費用については搬入元が決まっていないので未定とのこと。土壌調査については、江戸川河川事務所の内規で5000㎥ごとと決まっており、搬入元が異なれば、5000㎥未満であっても一回は調査するそう。

 これまでも本事業について大量に必要となる盛り土の安全性、安定性について指摘してきたところです。食の安全に影響する市場予定地と居住予定地とでは調査方法に差があることはある程度致し方ないにしても、そこで住み続ける方々にとっては、まちの安全性、家屋の安定性、そして健康面においてもやはり大きな問題点と言えます。