「スーパー堤防事業」が事業仕分けの対象に

仕分けの行方に注目

→左が北小岩沿いに流れる江戸川。最大幅220㍍、全沿川に広大な河川敷を有し、過去繰り返し河川改修事業が実施されてきた。当時の建設省は関東大震災級の地震にも耐えられると説明。地盤も強固。この上スーパー堤防事業が必要か?

 来る10月27日(水)から30日(土)まで行われる行政刷新会議の事業仕分け第三弾において、江戸川区が整備方針を持つ「スーパー堤防事業」がその対象事業となりました。

 ご存じのとおり、国民に公開された場で、民間有識者を含む仕分け人が事業の効果や国費の使い道を徹底追及。それぞれの事業ごとに税金がどう使われ、その効果がどの程度あるかを検討し、事業の必要・不必要を判定していきます。今回取り上げるのは特別会計。年金や社会資本整備など18ある特別会計は、各省庁が所管するために、既得権がはびこり、チェックもしにくいなど、なかなか切り込めない状況が続いていました。

 私たちが、スーパー堤防事業に大きな問題意識を持って取り組んできたことはこのサイトで何度もご報告してきました。先日終了した2009年度江戸川区決算特別委員会でも、国庫補助金に関連して「歳入」の項目で、また、行政評価に関連して「総務費」で、さらに、進行中の区画整理事業に関連して「土木費」と、3日間にわたり、本事業を取り上げ、改めて問題提起したところです。

 本事業の対象エリアは、首都圏と大阪圏の5水系6河川(利根川・江戸川・荒川・多摩川・淀川・大和川)に限られているため、ダムや空港のように全国どこにでも点在し、多くの人の関心事となっている公共事業とは言えないものでしょう。しかし、その事業をなぜ取り上げるのか。それほどに問題の多い事業だからに他なりません。

 計画総延長は872.64kmに及びますが、昭和62年度から現在までに完成したのは47.65kmで整備率5.5%。昭和62年度から平成21年度の補正予算までの総事業費は6790億円(本年2月25日、衆議院予算第八分科会における前原大臣の答弁から)。国土交通省は、完成年度や総事業費の試算はしていませんが、このペースですすめば、完成までに400年を要し、総事業費は12兆円に及ぶことになります。

 調べれば調べるほど、費用対効果はどうか、住民本位の事業であるか、持続可能な事業なのか、疑問は増すばかり。区内で完成した平井地区の総事業費83億円(区画整理事業含む)のうち96%もが国費です。十分な調査を経て臨む仕分け人であれば、蓮舫大臣ならずとも「なぜこの事業でなければならないのか。他に方法はないのか」と聞かずにいられないはず。いかに不要不急の事業であるのか、国民注視の場で明らかにされることを期待します。

 場所は、池袋のサンシャインシティ文化会館。誰でも傍聴することができ、会場への出入りは自由です。傍聴者多数のときは立ち見や入場制限も。先月は、当該エリアである大阪から、橋下大阪府知事が「スーパー堤防事業は廃止すべき」と意見表明。
 仕分けのゆくえに注目、です。