指定管理者制度運用のあり方を問う

指定期間一巡に思う

指定管理施設は、区からの財政援助団体の枠組みの中で、指定期間中に区の監査を受けており、今回唯一管理者が交代することになった「総合体育館」にも平成19年度(P48)21年度(P44)に監査が入っています。それぞれ前年の収支状況も公表されていますが、収支差額は18年度が約650万円のプラスであったのに対し、20年度は1330万円ほどのマイナス。途中年度の19年度を調べたところ、やはり1千万円ほどのマイナス収支になっています。

指定管理料は、年度協定書に基づく各年度の予算額(利用料金、自主事業)の収入と支出(管理運営費、自主事業経費)の差額として算定されるもの。この推移をみると、まずは目標指標の立て方に無理があったのでは? 指定管理者からは、区に対し、年に一度、会計も含めた事業報告書が出されることになっており、さらにはこうした監査報告を考えあわせると、もう少し早い段階で運営改善に乗り出すチャンスがあったのではないかと考えます。

私たちは、以前から、指定管理者制度に特化したチェックのしくみを提案していますが、区は現状で十分、としてきました。しかし、今回の対応を見ていると、従来のしくみは機能しているのに、それが十分活用されていない状況にあると言えます。

今年の予算特別委員会において、障害者施設の指定管理料について、法人事務費の積算根拠の甘さを指摘しましたが、スポーツ施設においては、この経費が調整弁となっていた様子が窺がえます。今回の審査にあたり、監査報告を改めて見直しましたが、監査は、この経費が指定管理者本社人件費や粗利益等に充当されている事実を把握し、「管理料の適切な算定のために、区の統一的な見解が必要」という意見を、指定管理者全体の総括として付していました。

障害者施設の本部経費の算定については、今年度分に遡って見直しが図られました。その法人が、他の自治体も含めて、指定管理施設で当該年度働いている総職員数を分母にし、区の当該施設で当該年度働く職員数を分子にして、法人本部の指定管理に係る前年度支出決算額に掛け合わせた額にするというものです。これによって、区の4つの障害者施設の法人事務費は、トータルで600万円ほどの縮減となります。

19年度に監査から出されていた意見を区がその時点で十分検討していれば、もっと早い対応が可能になったはずです。区は、監査や行政評価を真摯に受け止め、PDCAサイクルを確立することが必要です。

また、指定管理者の業務は、ほとんどの場合、その事業者の業務の一部に過ぎず、区が全体の安全性や効率性をコントロールできないのが実情です。法人の財務状況については、実際、選定時にのみ、法人全体の書類が提出されてはいますが、そのあとは区は、指定管理施設の監督をするのみです。

やはり、選定委員会に外部の有識者も新たに入れて、選定の際の審査をさらに充実させると同時に、指定期間中の財務と労務のモニタリングの実施についても再検討すべきです。協定をいかに慎重に作り上げるかも重要。そして、それぞれの所管ごとにすすめている本制度について、やはり区としての統一の指針を持つべきです。