最低制限価格制度の拡大を

区の社会的責任を明確に

「新川護岸耐震補強工事」請負契約において、低入札価格調査を実施した結果、落札した事業者が失格となったことはすでにお伝えしました。区の請負契約において、低入札価格調査を実施したのは5回目ですが、失格は初めて。他の自治体をみても、レアケースと言えます。

こところ続いている著しく低い価格での応札は、適正な履行がなされないリスクが大きくなり、下請業者や労働者へのしわ寄せが発生することがやはり懸念されます。

最低制限価格制度を広く採用している他の自治体の状況を見ると、おおむね予定価格の8割がたを設定しています。今回、失格となった事業者は6割強で応札しており、次に繰り上がった事業者も6割7分。いずれにしても不安な状況であることに変わりはありません。

江戸川区では1億5千万円という価格を境に、低入札価格調査制度につながる制限付き一般競争入札と、最低制限価格制度を設定する入札とに分けているのが現状です。
 しかし、たとえば、国立市では、工事請負契約については1000万円以上、委託契約についても500万以上については、最低制限価格制度を採用しています。

最低制限価格を設けるということは、公共調達の品質確保についての自治体の社会的責任を自ら明確にすることであり、ダンピング対策としても有効です。区も、様々に検討を重ねてきたところですが、最低制限価格制度の対象を広げることが現状の課題解決につながるとの考えから、拡大を検討するよう要望しました。

また、低入札価格調査について、国の直轄事業においては、基準となる価格算定の見直しを繰り返し行っており、基準価格の範囲については、予定価格の3分の2から10分の8.5だったものが、昨年、10分の7から10分の9に。中身の計算式についても、直接工事費や現場管理費、共通仮設費、一般管理費に掛ける係数を大きくしてきています。区では、こうした見直しを行っていないことから、先進自治体の例も参考に、低入札価格制度についての見直しも図り、ダンピング対策を一層強化して、工事の品質確保をさらに図っていくことが必要だと意見を述べました。