介護保険制度運用の課題

2011年度予算特別委員会報告⑤

  区では介護保険事業所への調査、指導を実施しています。
  2005年の法改正で制度化され、区が主体となって提供している地域密着型介護サービスについては、かなり精力的に調査や指導が行われてきており、在宅支援事業所への調査については今年度から本格化しています。

  介護現場の担い手には、さまざまな主体が参入しています。大企業や大きな社会福祉法人であれば、経営者とサービス提供者をそれぞれ別の人が担っており、区の調査にも十分対応することが可能ですが、小規模事業所では、経営者がサービス提供者も兼ねているのは普通のことです。
  区として、こういう時に十分なチェックをすることは当然のことですが、こうした事業者にとっては、たとえば詳細な書類の提出など、調査によっては、かなりの時間を割いてその対応に追われることがあり、肝心のサービス提供がおろそかになるといった声も聴くところです。

  書類を整えることはもちろん大事ですが、書類に現れることのない部分、いかにその事業者が利用者のためになる適切なサービスを提供しているのか、サービスそのものの評価をして事業者を見極めることが区の責任でもあります。事業者を育てるということも区としての重要な観点です。そのための、調査、指導をしているものとは思いますが、小規模事業所に対しては、この部分に配慮して対応するよう要望しました。

  また、いわゆる「お泊りデイサービス」の実態調査についても質問しましたが、現在区内8か所でこのサービスが実施されているとのこと。デイサービスは法内、お泊りは現在法外です。

  次期法改正では、利用しやすい介護サービスということで、これが制度化される方向にあります。事実、「お泊り」は、家族にとってもありがたいものであり、利用しやすいという一方で、複数の高齢者の「お泊り」を、経験の浅い若いスタッフが担うケースもあり、リスクも否定できないものです。

  多様な介護の担い手、介護事業者がこれからますます必要になる中、区としてもこの課題について適切な対策を引き続き講じるよう要望しました。