中小事業所と大規模事業所間カーボンオフセット

2011年度予算特別委員会報告⑩

 昨年一般質問した「中小企業向け省エネ支援」が新年度実施されることになりました。ある業種業態を特定し、省エネ診断を通じて、小規模事業主でも取り組むことのできる省エネマニュアルを作るというものです。

 民生業務部門のCO2はなかなか削減に転じないことから、対策が求められるところですが、区内の店舗や中小企業では取り組みのメリットがわからない、取り組むゆとりがないなどの理由で、進まない状況にありました。本施策の成果に期待するところですが、この先のことについて具体の提案をしました。

 マニュアルなどに基づいて実際に省エネに取り組み、CO2排出量を削減した分を、削減が義務付けられている事業者に買い取ってもらう「事業所間カーボンオフセット」への取り組みです。

 東京都は、環境確保条例の中で、一定規模の事業所に削減計画の提出を求めています。区内には対象となる事業所が16あり、区内施設でも唯一、タワーホール船堀が該当しています。区内の小規模事業所の削減分を、こうした事業者と取り引きして対価を得ることで、小規模事業所の新たな投資に充てることができ、この取り組みのメリットがさらに生まれることが期待されます。

 削減義務を負う対象事業所は、年に1回、都知事に実績報告することになっており、最終的に目標達成できないと事業所名公表や罰金が科せられます。こうした状況も踏まえ、小規模事業所と大規模事業所、それぞれにメリットを生み出す「事業所間カーボンオフセット」は現実的な対策として積極的に検討すべきと考えます。