スーパー堤防事業の是非・区長は区民との対話に応じるべき

住民主催、区との対話集会傍聴記②

 「前部長は、直接施行(強制執行)はしない、と言っていたが?」という質問には、「区画整理法の定めであり、必要があればありうる話。したくはないが、最後はあると思う」という答弁。さらには「住民の合意がとれなくてもすすめる」と、これまでと180度転換した驚くべき発言が。これも今や事業認可をとっているがゆえの強気発言でしょう。

 「水害に備え堤防強化することは必要。しかし、なぜスーパー堤防という手法でなければならないのか。その理由が依然不明。本事業はより高く、より広く、という極めて原始的な発想。そうではなく、いかに狭小でも、住民に迷惑がかからず、効果的にできるか、を考えるのが文化の進歩というものでは?」これについては、時間が超過していたこともあり、答えはなく、次の集会の約束をしてお開きとなりました。

 部長という責任ある立場と言えども、執行機関である区長の補助機関であり、本事業の強力な推進を表明している区長の姿勢とたがえるような発言はできないでしょう。新部長ご本人も前部長同様「江戸川区スーパー堤防整備方針」の策定委員でもあります。

 地方自治は民主主義の学校です。担当部長として何度でも対話に応じる姿勢を示したものの、その発言の端々から、江戸川区は、団体自治、住民自治を何と心得ているのか、と思わされました。

 以前、私は「本事業については、選挙で選ばれている区長自らが区民とまず対話すべき」と主張し、区長は「時機を見て」と答えました。機は十分熟しています。

 その後区長は「反対住民と話しても不毛」と発言するなど、区民本位とは言い難い姿勢、言い換えれば前線に出ない、逃げの姿勢を見せてきました。大臣や都知事との会談、国会での参考人招致には応じるのに、反対住民の前に自ら出ることを拒んできました。しかし、この局面から決して逃げず、自らの言葉で語り、対話するのが執行機関の責任です。区の最重要施策と言いながら、区長自身、この事業の功罪についてきちんと理解しているのか、と思われる節もあります。補助機関を介して説明を聞くのではなく、区民との直接対話によって、改めて気付くこともあるでしょう。

 本事業は、完成に長い歳月と莫大な費用を要しますが、大自然の営みの前に、その効果は不明であり、将来の責任をとることが大変難しい面があります。だからこそ、区長は、今住民から求められている直接対話に応じ、現在の責任を果たすべきです。