治水とまちづくりの要請は一致しているか?

2011年8月25日 13時00分 | カテゴリー: スーパー堤防

「高規格堤防の見直しに関する検討会」の議論から

→都立大島・小松川公園のスーパー堤防化は、都の再開発事業の中で、国と都の協定により実施された。大災害時、20万人の避難場所として重要な防災拠点に。写真は、土盛りスタート地点下にある道路を通すための大きな空洞。左が荒川、右が公園。果たして想定の強度は保てるか?

 「高規格堤防の見直しに関する検討会」の議事要旨には、以下のような意見も。

●都市中心部を守るという大事業でありながら、まちづくりとの関係から、事業の進め方が受け身になっている。
●高規格堤防の便益としては、治水面だけの便益を考えるので、治水面に関する費用だけを計上する考えと、まちづくりと治水面の全体事業費を計上する考え方があるが、後者は非常に難しい。
●まち側からすれば、いろいろな堤防の種類・工法がある中で、高規格堤防でなければならない理屈が分からない、納得できないと思う。
●局所的な高規格堤防の整備によるその周辺の安全性も合わせて考えるべき。
●想定浸水区域図からではなく、各破堤地点毎の浸水想定から、守るべきところはどこか、河川工学上整理した上で、何で守るのかの議論が必要。
●治水とまちづくりの要請が必ずしも一致しないところに大きな問題がある。

 国と自治体における問題点はある程度認識されていたと思われますが、有識者会議であるからか、やはり欠落してしまっているのが、国会の議論でも取り上げられた当該住民の存在です。住民の負担が大き過ぎないか、住民意見は反映されているか、住民合意はなされているか?

 行政は方針・計画どおりすすめたくても、行政=住民ではありません。とりまとめを受けて、具体の検討に入る段階では、ここにも焦点をあてた議論が必要です。

 それにしても、依然として使われている「高規格(スーパー)堤防とは、超過洪水による越流に対しても決壊しない堤防」とのフレーズ。東日本大震災を経験してなお、土を盛るだけの構造の本事業をここまで言い切っていいのか。過去の事例を見ると、都の再開発事業の中で、国と都の共同事業として実施された小松川地区では、スーパー堤防化された荒川沿いの大島・小松川公園の下を含め2か所トンネル化し、道路を通しています。今後、江戸川区が予定している篠崎公園地域も同様の工法が用いられることに。ボックスカルバートなる工法ですが、大きな空洞ができるために、決壊しない堤防の強度は間違いなく落ちてしまうのでは? 自然が人智を凌駕することを改めて見せつけられた今、「決壊しない」という過信は禁物です。 

 計画予定地・北小岩に治水事業の必要性が見当たらないのは前回もご報告したとおり。ましてや、狭小な土地であり、区が強調する、災害時の高台避難場所とはなりえません。

 8月9日(火)の区議会建設委員会。先のとりまとめが出ていない中、区当局は「重点整備区間は荒川、多摩川、江戸川の右、左岸。全国で224km。」とし、「江戸川区のまちをどうしていくのか。一定の努力で災害は抑えられる。12兆円かかろうが、400年かかろうが取り組む。北小岩のまちの課題解決は、スーパー堤防と合わせてやれば財源の無駄なく効率的にすすめられる。」と発言。復興予算の捻出が大きな課題となる今、この強硬発言に国民の理解は得られるか?

 まちづくり事業優先で、本来の治水事業が受け身になってしまってはなりません。