江戸川清掃工場の放射能濃度、今後は落葉焼却に注目

東京23区清掃一部事務組合ヒアリング報告

 23区がサーマルリサイクルを始めることを決定した当初から、区部の生活者ネットワークでは「23区ネット廃プラ連絡会」を立ち上げ、各区の情報や課題を共有し、ともに活動しています。9月1日は、11区のネットメンバーで、23区の廃棄物焼却を担う「東京23区清掃一部事務組合」に対しヒアリングを行いました。項目は以下のとおり。

1. 焼却灰の放射能汚染問題について
2. 被災地からの災害廃棄物受け入れについて
3. 今夏の電力供給増量計画、粗大破砕ごみの焼却処理など新たな取り組みについて
4. サーマルリサイクルのその後について

 江戸川区民としては、今最も気になるのは1.です。
 6月中旬、各清掃工場が実施した飛灰における放射能濃度測定で、セシウムの値が9740㏃/kgと、国基準8000㏃/kgを唯一超えたのが江戸川工場でした。7月上旬の第2回目では11470㏃/kg(汚泥8470㏃/kg)、同月中旬の第3回目では12920㏃/kg(汚泥11640㏃/kg)と高くなる一方。8月上旬の4回目計測で9200㏃/kg(汚泥6490㏃/kg)と若干下がり、5回目の計測では基準値以下となったとのこと。この数値は週明けにも清掃一組のHPで公表される予定。基準値以下のものについては、江戸川工場分も来週から埋め立てが再開されます。

 しかし、この値が変化してきた過程には、測定方法の変更というカラクリも。
 飛灰の埋め立てに関する環境省の通知は、当初8000㏃/kgが基準値であり、飛灰そのものの数値が計測されていました。しかし、7月2日付けの同省の通知では、測定の対象が、実際に埋め立てられる飛灰処理汚泥ということに。つまり、重金属固定材などで練り固められた状態での測定値でいいと。ということは、当然数値は低くなる・・。上に明記したとおり、第1回目の計測は飛灰そのものの結果のみですが、2回目以降は飛灰と飛灰汚泥の2種類の計測となり、国基準との比較では、汚泥の方の数値が採用されるようになっているのです。

 この8000㏃/kgという基準についても、環境省は8月27日、一気に10万㏃/kgまで引き上げることを発表しました。ただし、8000㏃/kg以上の飛灰汚泥の埋立処理については即解禁するものではなく、23区清掃一組として慎重に検討中とのこと。こうした基準の見直しも何を根拠になされているのか、市民にはよくわかりません。安全第一、というよりも、保管処理に困った結果の措置?

 以前このサイトで、江戸川だけが数値が高いことについて、本区では草木ごみや植木ごみが多い特徴があることをご報告しました。区内には江戸川緑地、荒川緑地が広範囲に広がり、公園数や小学校数、樹木数も23区No1です。同じく清掃工場の放射能濃度が高い柏市が剪定枝などのごみを別にして収集、焼却したところ、一定程度数値が下がることが確認されており、23区清掃一組ではこうした実験はしていないものの、一組としても、やはり同様の結果が得られるだろうとの認識でした。

 江戸川清掃工場の放射能汚染ごみ問題も収束した、との見方がある一方で、これから落葉の季節を迎え、こちらのほうがリスキーとの見方も。まだまだ予断を許しません。