学校栄養士、民間委託の行方は?

課題への対応は十分か?

ついに児童生徒の指導に関わる公教育の領域にも民間委託の波が押し寄せています。教育の分野を合理化の対象にしていいのか、という批判もある中、同じ資格者に官民の差はない、という考えもあり、また、学校栄養士の民間委託など到底考えられない、という見方も根強くあります。

江戸川区では、退職不補充により、そもそも常勤が必要な職場、しかも公教育の職域に、非常勤という職場環境を拡大してきた責任が問われなければなりません。「非常勤職員では限界だから民間委託」と結論づける前に、公の責任を担ってきた非常勤職員がなぜ辞めていくのか、その原因究明を十分にしたでしょうか。非常勤職員にリビングウェッジと職責に応じた報酬を保障してきたでしょうか。さらには、公立学校における重要な職責に鑑み、正規職員の採用を再度検討してきたでしょうか。あるいは、非常勤職員に職層を設け、昇格・昇給をはかり、当事者のスキルを活かすと同時に意欲を保つ、こうした検討をどこまでしたでしょうか。文部省の古い「通知」に対して異議を唱えるのと同様に、古い「地方公務員法」の壁に挑み、新たな公務員像を試行する姿勢があってもいいはずです。現場のチェック体制や個人情報保護の問題なども納得のいく説明にはいまだ至っていません。

すでに多様な職種での非常勤職員の採用で、学校における事務調整がスムーズでないなどの指摘がある中、民間の参入により、さらに多様な人材の関わりが増えることで、学校教育全体にひずみを生じさせる事態にならないか。その問題点を丁寧に分析し、何がベストミックスなのかを見極めていかなければなりません。