条例制定の直接請求はすべて否決してきた都議会、さて今回は?

「都民投票条例」制定の直接請求、法定署名数超す

 生活者ネットワークもともに活動をすすめてきた直接請求運動、「原発都民投票」条例の制定を求める法定署名活動が9日終了(選挙で期間が延びている府中や八王子などを除く)。都内有権者の2%という法定署名数を上回り、さらに30万筆をめざし、署名簿の回収がすすんでいます。

 署名は各自治体の選挙管理委員会に提出され、一筆一筆、選挙人名簿に記載されているデータと一致しているかチェックされることに。この過程で、無効となる署名も2割程度はでてくるとされています。

 とはいえ、署名簿の回収が各地で行われていることから、有効署名数を確保し、東京都に提出されることは間違いないと思われます。

 原発立地自治体以外で、電力消費者の立場から、原発についての是非をひとりひとりが投票するのは全国初。国民投票のしくみが整備されていない中、昨年の原発事故により、多大な被害を受けた日本の、その首都に住む住民が、どのような判断をするのか、世界が注目することでしょう。

 その前に、東京都議会での条例案審査のプロセスがあります。
 この運動が起きた時、都議会の大会派からは「議会軽視」との声も上がりました。住民の代表として議員がいるのに、都民の直接投票は必要ない、と言いたいのでしょう。しかし、住民は議会にすべてを委任しているわけではありません。誰にも任せられない重要なテーマについては、住民自らがその賛否を投票行動で示す、そしてその結果を正式な決定に反映させる——このしくみは、通常の間接民主制を補完・補強する、もうひとつの大事な制度として地方自治法に定められているものです。

 石原都知事はこの運動を「ヒステリック」と言い、先に手続きがすすんでいる大阪市の橋下市長も、「自分は脱原発を打ち出している。住民投票にはお金がかかる」と、この運動に否定的な見解をお持ちのようですが、首長の座に数年いただけで、すでに一般市民とはかけはなれた心境に陥っています。では、市長が変わってしまったら? トップダウンではなく、市民の署名によって、自治体に一定の行動を起こさせる、そして、市民が住民投票という正式な場で意思表示し、行政がその結果を尊重する。地方自治の本旨、住民自治と団体自治において、この制度の持つ意味は間違いなく大きいはずです。

 過去6回の直接請求による条例案をすべて否決してきた東京都議会。今回の、「原発稼動の是非を問う都民投票条例」案についての議論、ぜひ注目していきましょう。