暴力団排除を条例で規定する意味は?

条例に反対しました①

  第二回定例会において「暴力団排除条例」に反対したことはすでに江戸川ネットのHPでお伝えしました。賛成42、反対1で可決。つまり、反対したのは江戸川ネットだけです。

  昨年10月、東京都と沖縄県にも本条例が制定されたことで、全都道府県で発効しましたが、都議会で初めて説明があったのが、2010年11月15日の警察・消防委員会。以下は警視庁総務部長の説明内容。

「都内の暴力団について、約580組織、構成員等約16850人を把握している。これは全国における暴力団勢力(80900人)の約20%。このうち、国内最大の勢力を擁する六代目山口組は、平成5年当時と比べて約25倍にまで勢力を拡大し、繁華街等における利権をめぐって、在京暴力団との間に緊張関係が生じている。現在、六代目山口組を最重点対象とした暴力団総合対策を強力に推進、本年9月末現在、3069人の暴力団員等を検挙している。近年、暴力団は、恐喝や薬物密売等の従来からの資金獲得犯罪に加え、その組織実態を巧妙に隠ぺいし、一般の企業を装いながら不動産売買、証券取引等の各種経済活動に介入するなど、あらゆる手段で資金獲得活動を活発に行っている。こうした情勢を受け、暴力団排除の機運が高まる中、東京都や民間団体等との連携を強化し、暴力団排除活動を効果的に展開しているが、特に暴力団総合対策を徹底するための、仮称、東京都暴力団排除条例の制定に向けた取り組みを推進している。」

  都条例には区市町村や都民との連携及び協力により推進する、と謳われていますが、すでに昨年5月、区市の契約担当課長会議に警視庁と都生活文化局が同席、本件についての取り組み強化の説明があり、区市においても条例制定が検討され始めました。

  それにしても、東京がこんなにタイヘンな状況にあるなら、なぜ条例制定が都道府県で最後だったのか、フシギです。さらには、なぜこれについて条例で規定する必要があるのか、よくわかりません。

 違憲の疑いがあり、立法が困難であることから、地方自治体が主役であるかに見せ、警察庁主導のもと、わずか1年半で全都道府県に条例をつくらせているとは言えないでしょうか? 都道府県に本条例がつくられ、基礎自治体には安全条例や、暴力団を排除する契約要綱などもある中、あえて市区にこの条例が必要なのでしょうか? これまでのところ、全会一致の可決が多いのですが、議論は十分なされているでしょうか。そもそも、条例案づくりから警察任せ、との指摘も。

 「暴力団と交際しないこと」の内容は広範であり、誰もがその対象となりえます。暴力団排除の名のもとに、市民参加の国民運動にする方向性は妥当でしょうか? あいまいなその規定ゆえ、一般市民も暴力団関係者となりうるリスクをはらんではいないでしょうか?