図書館への指定管理者制度導入は是か非か

2012年10月10日 12時03分 | カテゴリー: 指定管理者制度

地方自治法に指定管理者制度を盛り込んだ改正時、総務省は、「道路法、河川法、学校教育法等個別の法律において公の施設の管理主体が限定される場合には、指定管理者制度を採ることができない」旨通知しています。

「図書館法」第二条(定義)にあるのは、施設の内容と設置についてのみであり、管理を地方公共団体が行うとは定められていない一方で、「社会教育法」第五条(市町村の教育委員会の事務)の4には、「所管に属する図書館、博物館、青年の家その他の社会教育施設の設置及び管理に関すること」とあり、図書館管理は教育委員会の仕事であることが謳われています。江戸川区の場合、「地方自治法」の委任と補助執行の規定に基づき、すでに図書館は教育委員会から区長部局(文化共育部)に移されていますが、当然、区の仕事ととらえるべきでしょう。図書館を指定管理にするかどうかの判断も含めた管理事務、との反論も聞こえてきそうですが。

2008年、国会でも図書館への制度導入の是非について議論となり、社会教育法の一部改正の付帯決議に「指定管理者制度導入による弊害についても十分配慮し、適正な管理運営の構築をめざすこと」が盛り込まれた経緯があます。さらに、2009年、総務省が発表した「公の施設の指定管理者制度の導入状況等に関する調査結果」では、公の施設を5つに類型化していますが、そのうちの「文教施設」の中に文化会館、博物館、美術館は明示されているものの、図書館は個別表記されていません。

日本図書館協会の調査によると、2010年度までに指定管理者制度を導入した公立図書館は全国で275館、8.6%のみ。そのうち7割近くを企業が受託しています。

そもそも無料利用が基本の施設に利潤追求を目指す民間事業者が参画することで、サービスの向上とコスト削減の両立を達成することは可能なのでしょうか。レファレンス、選書、相談業務などのためには、専門の人材配置やその育成は不可欠ですが、そこにコストをかけられるでしょうか。図書館員に必要なのは専門職としての司書資格と経験。長年にわたり多くの人と接する中で、そのスキルが磨かれていきますが、指定期間の中でどこまでスキルアップできるか。専門性向上と同時に、人件費削減を余儀なくされる現実の中で、優秀な人材であっても不安定雇用となり、官制ワーキングプアを生む懸念はぬぐえません。開館時間の延長だけでサービスを向上したと言える施設ではないことは自明です。

大手書店や、傘下に図書販売会社を持つ企業グループ、書店との共同事業体が多く指定されている現状からは、図書館運営の管理者となるメリットは、市場の経済不況が続く中、その自治体への図書調達において主導権を握ることが可能になる、ということになるでしょうか。

全館指定管理にした岩手県では、指定期間終了後には見直すとし、佐賀県伊万里市では、市民が連携して図書館への指定管理者制度導入を阻止。福岡県小郡市では、指定管理者から直営に戻しています。

江戸川区内の同じ図書館という施設であっても、全体のコントロールタワーともなる中央図書館には特別の機能があり別格です。せめて、ここでは直営を堅持すべきと考えます。