民意は適切に反映されたか?~選挙制度の改革を

 2005年の総選挙は、郵政民営化一色の小泉劇場により、自民党が圧勝。前回2009年は、その自民党から民主党への政権交代に湧き返り、民主党圧勝。そして、3.11後、初めて執行された総選挙。脱原発に舵を切る投票行動が期待できるかと思いましたが、結果は、原発依存の自民党が、前回の民主にも増して大勝しました。これほど短期間に議員が大量に入れ替わり、キャリアが途切れるのは国民にとっては不幸でもあります。喜ぶのは官僚?  いずれも「小選挙区比例代表並立制」のもとでの選挙。

  選挙区で1人だけが当選する「小選挙区制」の利点として、「中選挙区制のように同じ政党の候補者同士の戦いがなくなり、争点をめぐる政党間競争が行われることから、決着がつきやすく、政権交代がスムーズに行われる」ということがあります。まさに、このことが具現化されていると言えますが、「争点をめぐる」選択が行われているかどうかは疑問です。一方、欠点として上げられる「落選者に投じられた死票の割合が大きくなる」「少数派の意見が代表されにくく、小政党の存立が困難」はそのとおり。 

 また、「比例代表制」は、「死票が少ない」「各党の得票数に応じた議席配分のため、小政党が不利になりにくい」ことが利点とされる一方、「政党の政策が前面に出るため、候補者の政策や人柄がわかりづらい」にもかかわらず、「重複立候補での復活当選を果たすには、小選挙区で有効投票総数の10分の1を獲得することが条件となっており、比例区は政党への投票を本来の目的としていながら、依然個人への集票が重要となっている」ことが欠点と言われています。 

 2009年時の結果によると、民主党は小選挙区で221議席(73.67%)、比例代表で87議席(48.33%)を得ました。獲得議席は308議席(64.17%)に達しましたが、比例得票率の42.41%と比べれば、20%以上の過剰議席であり、それだけ民意が歪曲されたと言えます。今回も死票は3730万票に及び、死票率は前回より9.7ポイント高い56%にも。自民党は得票4割で、8割の議席を獲得しています。この間、制度の不備がわかっていながら、選挙制度改革に着手できなかったことが本当に悔やまれます。 女性も52名から今回38名に(衆議院)。

 一票の格差については、以前お伝えしたところですが、これを解消するには、現在の衆院でとられている「1人別枠方式」も廃止が必要です。衆院の小選挙区が300議席であることはよく知られていますが、このうち、まず47都道府県に1議席ずつを「別枠」として割り当て、残り253議席を人口に比例して配分する方式がとられていることは意外に知られていません。人口の少ない地方に比例配分より多めに議席を配分し、過疎地の国民の意見も国政に反映させることが目的と説明されてきました。しかし、最高裁は「国会議員は、どの地域から選出されたかにかかわらず、全国民を代表して国政に関与することが求められており合理性があるとは言い難い」と指摘。「議席が都道府県に配分された段階で、すでに、ほぼ2倍の最大格差が生じており、1人別枠方式が1票の格差を生じさせる主な要因となっているのは明らか」としています。 

 来年7月執行される参議院議員選挙も、3年ごとに半数を改選するため、人口の少ない県にも最低2議席を割り当てざるを得ない状況にあることが格差を生んでいます。国家の重要課題が山積する中では、地域代表的な側面より投票価値の平等を重視すべきとの考えが主流になりつつあり、両院ともに「違憲状態」の回避にとどまらない、抜本的改革を急がなければなりません。これを果たすには、利害のうずまく国会内だけの議論ではなく、第三者機関に諮問していく必要があるでしょう。

 さて、今回の東京16区(小岩を除く江戸川区)の選挙公報。「江戸川区のために全力」と約束し、それが信念、と主張する候補者が当選しました。国会議員は、特定の地域や団体に利益誘導などしてはなりません。国民生活にひとしく光をそそぐ政治を謹んでお願い申し上げます。

 さらに江戸川区長までが「江戸川区のために最もたよりになる人」として選挙公報上で応援。これって、首長の姿勢としていかがなものでしょうか?

  今回のダブル選挙についての私たちの考え方、取り組みを江戸川ネットのHPに載せています。あわせてご覧下さい。