かくす、ごまかす、逃げる、居直る~スーパー堤防取消訴訟第8回口頭弁論

 24日(水)に行われた第8回口頭弁論期日では、被告・江戸川区は、原告のこれまでの主張に対し、裁判長から命じられ、準備書面(5)をもって対抗。やはり今回も口頭での主張は一切行いませんでした。自らの主張を、法廷で堂々と陳述して、満場の傍聴者に聞かせてほしいものです。 

  そこで、すかさず、原告側の小島延夫弁護団長が、その準備書面に書かれていることについて2点ただしました。 

 まず、当該地区への車両の進入について。

 原告が「北西側からも進入可」と主張した点について、被告は「北側からのみ進入できる。JR総武本線側道路と西側142号線が通じる部分は30cmの段差と柵で遮断され、車道として接続していない」とし、原告の主張を、裁判所を誤導するものとして、書面にて遺憾の意を表明していました。

 そこで、小島団長は、「では、火災の起きた昨年12月26日、その北側道路から消防車両が地区に入って消火活動をしたことは認めるのですね?」と問うと、被告代理人は「入れないとは主張していない」と蚊の鳴くような声で答えました。あまりにも小さな声だったので、この通りだったかどうかは定かではありませんが、こういう趣旨の答え。 

 このことは、以前ご紹介した、国土交通省関東地方整備局事業評価監視委員会が「再評価」により、本事業について「事業継続」とした際の前提となった、区の証言を覆す、きわめて重要な指摘です。「再評価」にある「(12/26は)消防車が地区内に入れないため、道路を通行止めしながら消防活動を実施した」ことの虚偽が改めて明らかになったのですから。裁判所や所管庁を誤導しているのは、江戸川区当局に他なりません。 

 もう1点は、原告が当初より指摘している盛り土の危険性について。被告が今回も主張を避けたことについて、小島団長は、「盛り土の安全性についての主張がない。事業計画には盛り土の安全性が考慮されていないのではないか。盛り土の安全性については今後も主張してこないということでいいのか?」とたたみかけました。被告代理人は「事業計画策定の時点では、盛り土の中身は何も決まっていない。これから決めること。」と答え、今回も住民説明とは正反対の二枚舌に終始しました。

 そもそも、盛り土の必要のないところに「スーパー堤防事業」を持ち込み、国のメニューに乗ることで、財政がひっ迫する中でも国費で自治体のまちづくりをしてしまおうという皮算用。人権をおかし、住民生活に多大な負担を強いることなどお構いなし。こうした公共事業の問題点は、原発問題と同根。あくまでも「かくす、ごまかす、逃げる、居直る」戦法なのでしょう。行政としてあるまじき姿です。 

 先の消防車の一件についても、区議会でその真偽をただされた区は、「区は事実を伝えている。国交省がそのように解釈した」と言い放ちました。だとすれば、先方の重大な事実誤認ですから、直ちに訂正すべきでしょう。

 裁判長は、事業の進捗に鑑み、裁判を長引かせるのはよくない、との考えから、その場で両者と調整し、次回9月11日(水)午後1時10分から証人尋問採否の決定、10月16日(水)午後1時30分から、原告陳述による証拠調べ、11月20日(水)午後1時30分から、専門家証人尋問による証拠調べを行い、12月に結審、とのおおまかなスケジュールを示しました。(日程は仮押さえ) 

「スーパー堤防取消訴訟を支援する会」では、今からでも、「スーパー堤防事業の不要性」を多くの方に知ってもらおうと、8月1日(木)、現地見学会を行います。参加希望の方は、午前10時、JR市川駅南口へ。 

 今月、区から仮換地指定通知が出されたことで、今月末には執行停止の申し立てがなされることになりました。こちらは、法廷では争われず、関係者が集まっての主張となります。

 数々の問題点がなんらクリアされることもなく、十分な合意のないままの強行には、住民の監視がますます重要ですが、今回の期日は10分ほどで終了。原告団からの発言がなければ、5分もかからなかったでしょう。「日程調整なら電話で済むだろう」とは若き傍聴者のつぶやき。ほんとにそう。裁判の持ち方にも改革が必要です。