スーパー堤防事業がもたらす住民被害~スーパー堤防取消訴訟第9回口頭弁論③

  第9回口頭弁論では、すでにお伝えした原告側準備書面(9)に基づく陳述に加え、さらに同時期に提出した書面(10)について、小島延夫弁護団長が弁論を行いました。そのポイントは、将来にわたり発生するであろう、居住者がこうむる被害について。なかでも特に騒音被害、交通量の増加に伴う住民への危険、盛り土の傾斜による住民への過剰な負担、の3点です。 

【騒音被害】

 盛り土により地盤が上がると、その位置はJR総武線と同じ高さになります。現在でも、3階建ての家屋では、1階より3階のほうがはるかに騒音に悩まされる状況ですが、今後はその3階の騒音が1階で発生。加えて、音は上へと拡散される性質上、騒音の被害がさらに増すことになります。 

【道路整備に伴う被害】

 地区内の道路が整備されると、14号線の信号待ちを回避する目的で、地区内の道路を通り抜けようと、大量の車が進入することが予想されます。これにより、住民の交通安全上の危険が大幅に増し、大気汚染についても、これまでになく劣悪な状況になります。

 【傾斜被害】

 「東京都福祉のまちづくり条例施設整備マニュアル」における「公園編基本的考え方」によると、園路の傾斜は4%を超えないように、3ないし4%の傾斜が50m以上続く場合は、途中に150㎝以上の水平部を設ける、などとされています(P290)。それほど傾斜は人の通行・移動に支障をきたすということ。当地の道路計画高平面図によると、80mにわたり3%の傾斜が付くことに。居住者には大きな支障となり、特に高齢者にとっては深刻な状況になります。

 これらは執行停止の意見書にも含まれている事由。さらに、原告側は、本件地区にスーパー堤防事業が不要である点、本件地区における盛り土が危険である点、本件事業に関する江戸川区の手続きが違法である点、以上3点について、専門家の意見書を次回期日までに提出することとしています。 

 お伝えした通り、次回期日は10月16日(水)午後1時30分、東京地方裁判所103法廷にて開廷。第1回からこの間ずっと継続して最も大きな法廷で争われれるのは、東京地裁でも珍しいことです。当日は原告側3名と、被告側の適切な責任者の証人調べが行われ、さらにこの日に結審する可能性も高くなっています。この重要局面に大勢で立ち会いましょう。