公共事業改革市民会議が江戸川区長に公開質問書提出~スーパー堤防と一体の区画整理事業

 9月30日(月)、公共事業改革市民会議のメンバーが、江戸川区長に対し、公開質問書を提出しました。 

 公共事業改革市民会議は、2009年の衆院選前から、道路、林道、湿地埋立て、スーパー堤防、ダム、リニア新幹線などの公共事業を見直し、国民の利益につながる事業に改革することをめざして各分野の運動団体による実行委員会を結成、「公共事業徹底見直しの実現」のための活動を続けてきています。この市民会議は、本年1月に、結成団体が母体となり、恒常的な連絡組織として発足したものです。   

 当日は、長年、道路問題、ダム問題などに取り組んできたメンバー4名が江戸川区を訪問。取材陣も3社から、フリージャーナリストも含め、計4名が駆け付けました。一方、江戸川区は議会開会中であり、土木部と総務部の担当係長が対応にあたりました。 

 江戸川区の北小岩1丁目東部土地区画整理事業エリアの当該権利者は、12月16日を期日として、現在住んでいる住居の取り壊し及び移転を江戸川区から求められていることは、すでにお伝えしています。こうした通知を受け取ったのは、おそらく全員初めての経験でしょう。行政の行うことであり、これが当たり前のこと、と受け止めてしまうでしょうが、立ち退きの決定に対する意見表明の機会がないという土地区画整理法の事実は、道路やダム問題に何十年も関わってきた百戦錬磨の運動家たちにも「理解できない」「あっていいはずがない」ことだといいます。一般の公共事業では、土地収用法に基づき立ち退きを迫る決定には、公開審理が正式なプロセスとして設けられているのです。

 一方、区画整理事業では、土地区画整理法での補償額決定に関してのみ土地収用法の規定を準用することになっており、補償額が折り合わないとき、補償額を決定する東京都収用委員会にかかることになっています。

 土地収用法での収用手続きは強制買収に関わること、これに対し、土地区画整理事業は土地は買いとられるでのはなく、減歩を受けたのちに換地される、という制度上の違いがプロセスにも表れているということなのでしょう。それにしても、行政に都合の良いルールであり、住民の立場に思いが及んでいません。土地区画整理法は59年前にできた法律。戦後、まちをつくり直すことが大命題であった当時には必要だったかもしれませんが、すでに成熟した今のまちにあてはめることには大いに無理があります。

 同会議代表の橋本良仁さんは、この事態を「スーパー収用だ」と言い、「住民の生活そのものを不安に陥れる。住民無視の事業は絶対に禍根を残す」と、区に対し「一旦止めるべき」との意思を伝えました。 

 当該住民もおふたり立ち会いましたが、夫を若くしてなくしたという80代の女性は、「今から家を建ててもこの先住んでいけるかどうかわからない。つらい。」と訴えました。また、やはり80代の男性は、「9年前にこの話が持ち上がったときは、仮住まい先は区が探すと言っていたが、結局そうではない。担当が変わったから前の事はわからない、と言われる」と区の対応に言及しました。 

 公開質問書は、①立ち退き強制②移転住民の生活設計③スーパー堤防との関係④治水対策としての有効性⑤スーパー堤防の危険性、と5項目18質問。そこが知りたい、という内容ばかりです。区からは15日までに回答が出ることに。総務部広報課によれば、こうした緊急の公開質問書の提出も、「区民の声・区長への手紙」のルールと同じで、回答には2週間要するとのことです。知らなかった・・。訪問されたみなさんは、他の自治体住民でもありますが・・。