瑕疵ある事業計画のもとで次々と行政処分~スーパー堤防と一体の区画整理事業・区議会決算特別委員会土木費審査報告

 北小岩でスーパー堤防事業と一体の区画整理事業が進められ、7月16日及び31日仮換地指定通知、同23日及び30日、建物等除却通知照会と、矢継ぎ早に行政処分を下す一方で、江戸川区は、行政として行うべき重要な事業計画変更を行っておらず、江戸川ネットはこの点を追及しました。質問全文と答弁は、発言者・新村いく子のHPをご覧ください。 

 北小岩一丁目東部土地区画整理事業は、都市計画決定の際は国との共同事業として説明され、しかし説明はそのままに、事業計画は江戸川区単独事業として決定、そして現在は、その単独計画に基づき、国との協定締結のもと、共同事業としてすすんでいます。これで都市計画行政といえるのでしょうか。現状は、瑕疵ある事業計画と言えます。

 本事業が5月、国との共同事業になった時点で、区はすぐさま事業計画変更の手続きをとるべきでした。単独事業が共同事業になったことは、事業計画変更手続きをとるべき事項です。資金計画の変更や施行期間の変更などは軽微な変更とされ、縦覧など、都市計画法及び土地区画整理法に則ったプロセスは要さないとされていますが、今回の場合はそうではないのです。

 今日の答弁で、区画整理課長は、「共同事業になったことで、さまざまな変更が出るが、それを細かく変更するか、まとめて変更するかは都との協議による。今協議中。」と答えました。何を聞いても「都と協議中」。「事業計画変更の際の一般的なプロセス」を聞いても「都と協議中」だそう。ここは「都と協議中」で乗り切ろう、ということだったのでしょう。

 10月1日、都議会生活者ネットワーク山内れい子都議と一緒に臨んだ都とのヒアリングで、区画整理課長の回答は、「単独事業から共同事業への変更は軽微な変更ではない。変更案を縦覧に付すなどのプロセスが必要」、また、「区からの相談はあるか」については、「まだ、ない」。  「計画変更はどのタイミングで行うのか」についての都の見解は「それは江戸川区が決めること」というもの。都と協議せずとも当然なすべきことについて、少なくともこの段階では、繰り返し答弁していた都との協議の姿勢すらなかったということ。昨夕の江戸川ネットへの質問取りにより、あわてて都と連絡をとった?

 細かくするか、まとめるか、についてで言えば、平井7丁目の共同事業では、区は、4回の変更をその都度行っています。住民の権利義務に直接影響を与える事業ですから、たとえ軽微な変更であろうとも、あとでいっぺんに、など杜撰すぎます。しかもこのたびは、事業設計の根幹に関わる重要な変更なのです。 

 今日の審査で「国との協定後、事業計画の変更があることを権利者に伝えたのか」との質問には、「共同事業の要件についてしっかり説明している。地域のみなさんもちゃんと認識をしている。」とリッパな答弁。待ちに待った協定にこぎつけた江戸川区としては、共同事業になったことは説明したでしょうが、こちらが具体に聞いている「事業計画変更の説明」には触れず。なぜなら、説明していないからです。誰もこれを聞かされていません。というより、区自身に変更しなければならないという認識があったのかどうかさえ疑問です。

  今後江戸川区は、事業計画の中の「設計の概要」の「設計の方針」に「共同事業」を盛り込む変更案をつくり、それを2週間、縦覧に付し、さらに、2週間、意見書の提出期間を設けなければなりません。ここで意見書が出れば、それは東京都の都市計画審議会で公開審査され、その意見を採択するか不採択にするかの判断がなされます。その結果を受け、東京都知事が変更された「設計の概要」を認可。そして、江戸川区長が事業計画変更案を決定するのです。1~2か月程度で済むことではないでしょう。

 権利者の除却期日は12月16日とされていますが、すっかり更地になってから共同事業への計画変更決定などありえないでしょう。通常の土地区画整理とは異なり、一斉に建物を取り壊した上での立ち退きを求めるのは、今の事業計画には明記されていない、スーパー堤防事業のためなのですから。

 事業計画変更という重要な手続きを放置し、住民の権利に踏み込む行政処分だけを行うなど、あってはならないことです。権利者の誰にとってもおそらく初めてのことであり、説明会で聞く話も、届く通知も専門的で難解。区に手取り足取り教えられることになるでしょうが、その施行者サイドがこうした状況では事業を行う資格が問われます。