「共同事業」は「軽微な変更」か否か?江戸川区の判断は?~スーパー堤防事業と一体の北小岩一丁目東部土地区画整理事業

2013年11月18日 20時41分 | カテゴリー: スーパー堤防

 「まず事業計画を変更すべき。軽微な変更でない以上、縦覧の上、意見書提出期間を設け、それを公開審査するなど、法に基づくプロセスを踏むべき」とした江戸川ネットの議会質問に対し、江戸川区が「都と協議中」と答えてから5週間が経過。未だ結論は明らかにされていません。区が協議相手とする東京都の見解は明確であったにもかかわらず、それを覆す奥の手をひねり出そうということでしょうか。 

 15日(金)、田村智子参議院議員のお取り計らいにより、国交省都市局市街地整備課・田中課長補佐、市街地整備制度調整室・潮法規係長にお話を伺う機会をいただきました。 

 意外にも国交省は見解を示さず、「区が都と協議中とのことなので、協議の結果を待つ」と話しました。その協議とは、国が定める「土地区画整理法」第55条に基づくものであり、「軽微」とされる変更については、「土地区画整理法施行令」第4条に1から9まで定められています(下記参照)。つまり、これに該当しなければ、通常、それは軽微ではない変更と判断されるでしょう。そしてこのたびの単独事業から共同事業への変更は、この9項目にあたらない上に、事業計画に盛り込まれている「設計の方針」に関わる大きな変更です。だから、認可権者の東京都はとっくに明快な判断をしている。なのに、国交省には見解がなく、そして、当の江戸川区がこの判断に1ヶ月以上もかけている-。 

(縦覧手続等を省略することができる事業計画又は規準若しくは施行規程の修正又は変更)

第四条  事業計画の修正又は変更のうち法第五十五条第六項 、第六十九条第五項若しくは第七十一条の三第十項又は第三十九条第二項、第五十一条の十第二項、第五十五条第十三項、第六十九条第十項(事業計画を変更しようとする場合に係る部分に限る。)若しくは第七十一条の三第十五項に規定する政令で定める軽微な修正又は変更は、次に掲げるものとする。

 都市計画において定められた都市施設その他の事項で当該都市計画の変更に伴うもの

 都市計画において定められた都市施設に関する都市計画事業の認可若しくは承認又はその変更に伴うもの

 施行地区の変更に伴う設計の概要の変更で、施行地区から除外される区域についての設計を廃止したにとどまると認められるもの

 事業施行期間の修正又は変更

 幅員四メートル以下の道路の廃止又は当該道路に代わるべき道路で幅員四メートル以下のものの新設

 道路又は水路の起点又は終点の修正又は変更を伴わない位置の修正又は変更で、修正又は変更後の道路又は水路の中心線の当初事業計画において定めようとし、又は定めた中心線からの振れが当該道路又は水路の幅員以下のもの

 道路の幅員の縮小で、縮小後の道路の幅員が四メートル未満とならず、かつ、当初事業計画において定めようとし、又は定めた幅員から二メートル以下を減ずることとなるもの

 公園、広場又は緑地の区域の縮小で、縮小された区域の面積の合計が当該施設の当初事業計画において定めようとし、又は定めた面積からその十分の一を減ずることとならないもの

 資金計画の修正又は変更 

 このことは、土地区画整理事業を行う自治体の職員の方々が虎の巻とする「土地区画整理事業実務問答集(改訂版)第2版」(P24~ 公益社団法人街づくり区画整理協会発行)にも、1.事業計画の変更手続きについて、2.「軽微な変更」の意義について、3.具体的な事例 などといった項目で紹介されています。 

 単独事業か共同事業かによって、実際の事業の内容が大幅に変わりうるか。それによって、住民が手にする空間や、補償金が大きく変わるかどうか、といった視点もあるでしょう。しかし、土地区画整理事業における手続きがなぜこのように細かく規定されているのか。それは、この事業が、国民の権利義務に直接影響を与えるから、公権力が私権に踏み込む事業だからでしょう。だからこそ、住民の基本的権利を侵さないために、手続きにおける住民参加の機会は保障されなければならず、情報公開と理由の開示などには意を用いていくことが行政に求められているのです。

 今回の変更が「軽微」でなければ、事業計画をつくったときと同じプロセスを踏み、縦覧、意見書提出、東京都都市計画審議会に付議といった慎重な手続きを要します。北小岩一丁目東部の本件事業計画を縦覧したときには、884通の意見書が提出され、自分の意見を別途口頭で述べる口頭陳述を52名(申請は126名)が、また5名の専門家による参考人陳述もなされた上で、審議会に諮られ、決定までには1年間を要しました。 

 法に定められた、こうした住民参加の重要な機会を持つことなく、仮換地指定や除却通知照会といった行政処分を下すことだけを急ぐなどあってはならないこと。区が指定した12月16日の除却日を控え、仮移転もすでに始まっていますが、除却日を来年1月31日と通知された権利者が一名いることも明らかになりました。さらに混乱を招くことが懸念されます。