「仮換地処分」の取り消しを求めて提訴~スーパー堤防と一体の土地区画整理事業

 26日、スーパー堤防と一体の土地区画整理事業に反対する北小岩1丁目東部の権利者5名が原告となり、「江戸川区スーパー堤防事業仮換地処分取消訴訟」及び「同執行停止申し立て」が東京地方裁判所に提起されました。 

  2011年11月に提起された「江戸川区スーパー堤防事業取消訴訟」の判決、及び本年7月に申し立てがなされた執行停止への結論が言い渡されるのは12月12日であり、司法の判断が注目されるところですが、先行したこの訴訟は、2011年5月に決定された北小岩1丁目東部土地区画整理事業の事業計画の取り消しを求めるもの。そして、このたびは、本年7月になされた「仮換地指定」という行政処分の違法性を主張し、その取り消しを求めるもの。時間の経過により、この内容を先の取消訴訟で争うことはできないため、改めての提訴となったものです。奇しくも、先行した訴訟と同じ民事38部の担当となりました。 

 請求の原因は、江戸川ネットが10月の区議会決算特別委員会で指摘したポイントと同様。

①    スーパー堤防事業と共同で実施することが、事業計画に記載されていなければならないのに、その変更がなされていない

②    スーパー堤防事業との共同実施により、仮換地によって与えられる土地は「河川区域」となるなど、仮換地の性質が大きく変わる以上、仮換地指定以前に事業計画の変更がなされなければならないが、それがなされていない

③    仮換地指定がなされた場合、土地の使用収益が停止され、権利者らは除却した上で仮移転をしなければならず、そこに生じる不利益が甚大であるが、この行政処分はそもそも変更を経ない従前の事業計画のもとでなされている

④    事業計画変更においても、計画策定時と同様に住民参加手続きを行うべきところ、それがされていない

 以上の理由により、変更義務を怠った事業計画に基づく処分は違法、としたものです。 

 また、区が除却期限と指定する12月16日が迫っていることから、同時に、執行停止もなされました。疾病や体調不良など住民の健康被害が顕在化している、住居取り壊し及び仮移転に伴う損害、コミュニティの消滅による損害などが発生しており、重大な損害を避けるため緊急の必要がある、というのがその理由です。 

 提訴会見に臨んだ原告の男性は「これまでの裁判では、区は、今までしてきた説明とまったく違うことを主張した。あくまでもスーパー堤防事業による補助金獲得が目的で、区画整理事業はその方便であることが明確になった。国と協定を結んだことで、住民の権利に多大な影響を及ぼすことになったが、区は事業計画の変更も行わず、行政処分に及んでいる。住民参加を保障した土地区画整理法に違反していることは明らか。ゲリラ豪雨や直下型地震が予測される中、強固な地盤の上に盛り土して家を再築するなど怖くてできない。崩れた場合、区は末代まで保障してくれるのか。江戸川区は地元説明を31回行っていると言うが、仕事の都合で出られない。区は、わが家には9年間で一度しか訪ねてきたことはなく、それも妻が要請してのこと。建物調査をするようにとは言われているが、その説明も受けていない。これでどう納得するのか。反対住民は無視されている。仮換地指定や除却通知などは区に返した。絶対に動かない」と語りました。 

 まずは、12月12日の判決が待たれるところですが、区の事業の進め方の問題点がこの期に及んで改めて浮き彫りになった格好です。