共同事業への計画変更手続中に、共同事業のための除却催告~スーパー堤防と一体の土地区画整理事業

 「北小岩一丁目東部土地区画整理事業」事業計画(第2回変更)案に示された変更理由は以下のとおりです。(○番号と下線は稲宮)

1.国土交通省の高規格堤防整備事業と共同事業に関する基本協定を締結したことにより、本事業を共同事業として行うため、①設計の方針及び②資金計画の変更を行う。

2.整理前の宅地について権利関係を精査したため、整理施行前の③地積を修正する。

3.事業計画決定時点より進捗が遅れているため、④施行期間を1年間延伸する。

  お伝えしている通り、事業計画の変更(土地区画整理法施行令第4条)は、その内容により、公衆の縦覧が必要な場合とそうでない場合があります。上記4点のうち、縦覧が必要なのは①と③です。この2つは、事業計画のうち、東京都知事が認可する「設計の概要」に含まれているからです。②と④は事業計画に盛り込まれる内容ではありますが、認可対象となる「設計の概要」には含まれていない項目です。 

  ①について、「設計の方針」の「造成計画」には、「本地区周辺部との高低差を解消し、防災機能の向上や宅地の利用増進を図れるよう整備する」と下線部が変更され、「なお、国土交通省が施行する高規格堤防事業との共同事業になったことを受け、高規格堤防事業の施行範囲については、同事業により造成した高規格堤防上に本事業による造成を行う」と追記されました。

 当初は、下線部が「~図るため、盛り土整備を行う」と、「盛り土」が主文に入っていたのですが、その盛り土である、今回の重要変更点、「高規格堤防事業」についての表現が、「なお」書きとされたことに疑問を感じます。大したことではない、と言いたい施行者の考えが表れているかのようです。

 1月20日付け「広報えどがわ」に掲載された縦覧のお知らせも「事業計画案の縦覧」とされ、「変更」とは表記されていません。同ページに同時に案内されている「都市計画案の縦覧」では「決定」か「変更」かがきちんと表現されているのとは対照的です。

  縦覧の際、「昨年5月に国との基本協定を結んだあと、速やかに①の変更を行い、縦覧手続きに入るべきではなかったか」と尋ねたところ、 

 「国との共同事業になれば事業費の分担が変わるため、資金計画も変更することになる。その時点では資金計画が決まっていなかった」との回答。

  軽微な変更と位置付けられ、縦覧の必要がない「資金計画」の確定を理由に、縦覧を必要とする重要な変更点について、法が定める住民の意見表明の機会を後回しにしていいはずがありません。区は、住民の意見よりも、国がどこまで費用負担してくれるのか、それだけがシンパイの種だった? 

 このたびの変更は「第2回変更」とされています。第1回目の変更は、昨年5月31日。道路幅員変更による換地案の変更がなされていたことを今回の縦覧で初めて知りました。「権利者には通知している」とのことでしたので、何人かの方に尋ねましたが、その方々は知らなかったとのこと。縦覧を伴わない軽微な変更の場合、こうしたものなのでしょう。「資金計画」の変更も軽微な変更ですから、確定した時点で計画変更すればいいのでは? 

 第1回目の変更をした昨年5月31日は、区と国が共同事業の基本協定を結んだ日の翌日。共同事業への変更をここまで引き延ばした責任が問われます。共同事業への計画変更手続き中に、共同事業のための建物明け渡し催告。このすすめ方、大いに問題です。