そのまちづくりはだれにとっても住みやすいか?~スーパー堤防と一体の土地区画整理事業

 3月11日、公共事業改革市民会議が江戸川区に対し、4回目の公開質問書を提出しました。市民会議から橋本良仁代表をはじめ4名、区当局から3名、地元から住民2名が参加しました。 

 昨年の9月30日に第一回目の質問状を提出して以来、継続して提出することとなっているのは、今の住まいを終の棲家として住み続けることを望んできた方々に対し、江戸川区が強制的に追い立てることなどあってはならず、住民合意が得られるまでとことん話し合う必要があると考えているからだといいます。 

 今回の質問内容は以下2点です。

1)盛土工事の事業主体について・・・①現在の盛土工事の事業主体②事業計画変更後の盛土工事の事業主体③盛土工事の開始時期

2)地元住民との話し合いについて・・・①話し合いの記録②話し合いの回数③話し合いをほとんどしてこなかった真の理由④真摯な話し合いを

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 メンバーからは、「これから都の都市計画審議会での審査を経て、計画変更認可について都の判断がなされるところである。腰を落ち着け、それまでじっくり住民と話し合ったらどうか」。

「何をもって話し合いと言うのか。文書をポストに入れたり、渡すだけでは話し合いではない。なぜしっかりやらないのか。」との投げかけが。 

 担当係長からは、「足を運んでやっている」との回答がありましたが、 

「その記録を求めたが残っていないとのことだ。これでは誠意をもって地元の方に接しているとは言えない。区の方針はどうなのか? いつ、どなたのところに伺い、こういう話をした、ということを記録するのは当然ではないか。今反対している人は放っておけ、というのが区の方針だとしたら、おそろしささえ感じる」

「まちづくり懇談会や議会だけでは、団体自治、住民自治とは違う。」 

 同席した80代の女性2名からは、「建物調査に応じてくれというばかりで、丁寧な話し合いはない」との発言がありました。

 さらに「移動が困難な高齢者のために、亀戸や錦糸町のように、歩道橋にエレベーターやエスカレーターを付けることこそやってほしい。荷物を持っての階段の上り下りは大変」

「心筋症、パーキンソン、骨粗しょう症、3つの病気を抱えて、(傾斜があり移動に負担がかかる)盛り土の上には住めない。こちらの事情を書いて提出し、どのようなメニューがあるのか示してほしいとお願いしてあるが・・。」とそれぞれの思いが語られました。 

 「スーパー堤防」とは、予想を超える大洪水から市街地の被害を最小限にすることのできる堤防と言われ、機能性と安全性を兼ね備えたまちづくりを可能にする、とされています。つまり、予想だにできないほどの非常時に機能性と安全性を発揮する、ということ。 あくまでも、そう考えられているだけであり、自然の猛威の前に立証はできていませんが。

地元から80代の住民2名も参加された

 言うまでもなく、人々の暮らしは、一日一日の積み重ねです。200年に一度あるかないかの非常時のために、平常時、誰にとっても住みやすいまちづくりの視点がおろそかにされてはなりません。 

「治水は河川の上にあらず。人身の上にある」(田中正造)

 事業を行う環境評価の中に、人間環境が含まれることが望まれます。 

 江戸川区からの回答は3月25日に書面でなされることに。今回は同時に、「スーパー堤防の安全性」について、国土交通省関東地方整備局江戸川河川事務所長にも江戸川区を通して同市民会議からの質問書が出されています。項目は、①地盤解析に使用したデータと計算結果について②地質ボーリング調査の結果について③東日本大震災による高規格堤防(スーパー堤防)の損傷事故を踏まえた改善対策について、の3点です。