スーパー堤防事業で比較・日米の環境アセス~エコスタディ報告③

2014年4月2日 11時43分 | カテゴリー: スーパー堤防

 アメリカで「社会影響評価」が発展してきた理由は、「国家環境政策法(NEPA)」制定後、訴訟などを受け、改善されてきたからだといいます。欧米では今や当たり前に行われている中、日本をはじめ、アジアではなされていないのが現状です。 

 アメリカでは事業の前に「目的」が重視され、事前に調査がなされます。

 度重なる巨大なハリケーンにより、多くの犠牲者を出したことで、2008年、湖水を一周する築堤を行ったフロリダの「ハーバート・フーバー堤防改修事業」では、破堤の可能性を低減するなどの調査活動が行われ、不当な社会影響がないかどうかを環境保護局が確認。「環境正義(EJ=Environmental Justice)」という項目の中で、「一軒のみがこの事業により影響を受けるが、この家屋には居住者がおらず、事業者が取得した。事業用地取得によって直接的に転居させられる環境正義住民はいない。3マイル以内に暮らす38%のヒスパニック人口は、その他すべての堤防下流沿いに暮らす人々とともに改修事業の利益を受ける」とコメントしています(抜粋)。

 人々の暮らしについて、一軒であっても着目し、評価していますが、北小岩一丁目地区高規格堤防整備事業「事業計画書」(関東地方整備局江戸川河川事務所)では、土地利用、地形、地質について記しているだけで、どのような方々によってまちやコミュニティが成り立ち、255人の住民の生活がいかに営まれ、本事業によりどのような影響を受けるかなどには一切触れられていません。 

 なお、この堤防改修で用いられたのは、日本が開発した連続地中壁工法(TRD工法)。浸透・越流・洗掘に対抗するため、堤防の内部を強化改良したもので、鋼矢板やソイルセメントを堤防中心部に設置するハイブリッド堤防です。

 スーパー堤防に比べて、①壁体の剛性が高く、止水性がよい②周辺地盤の沈下を防止できる③ほとんどの地盤条件に適合して施工できる④住民への負担がない⑤短い期間・低費用 などの特長があります。*ハーバート・フーバー堤防改修費用は1m100万円以下

 日本でも、茨城県小貝川(1995年)での斜め壁仕様の実証実験を皮切りに、新潟県大河津分水路(96年)、愛知県矢作川(2007年)などで実施され、2012年には、累計施工実績250万㎡を達成しています。

 これまでスーパー堤防事業の代替案として、この工法やフロンティア堤防の検討を求めると、区は、「江戸川や荒川ではスーパー堤防事業を実施することに決まっている」と回答していましたが、対象6河川のうち、利根川、荒川、大和川では、傾斜型ですが、すでに連続地中壁工法が行われています。 

 ミニ講座の最後に、ジャーナリスト・政野淳子さんは、「他の環境法も改正が必要。特に『種の保存法』(絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律)では、特例として、54条で公共事業を適用除外としており、削除が必要」とも指摘されました。

 ともに学んだ進行役・小川淳也衆議院議員は「開発と環境はせめぎ合いを続けてきたが、人口減少時代、環境が優先されるべき。ロマンチックで思い込みの激しい男性に比べて、女性は生活に引き付けてものごとを考え、現実感覚に立った判断をする。リーダーが女性なら判断も変わってくるだろう。環境省は、環境アセス、原子力行政も担う成長官庁であり、権限を持つ立場として頑張ってほしい」と話されました。小川議員は、女子大生によるイケメン政治家ランキング堂々の第2位だそう(1位小泉進次郎さん)。ますますのご活躍を。