部分盛り土のため、順次「直接施行」?~スーパー堤防と一体の土地区画整理事業

  裁判終了後、場所を参議院議員会館に移して行われた報告集会では、スーパー堤防事業と一体の北小岩一丁目東部土地区画整理事業に関する新たな区の動きが区議らから報告されました。

 15日(火)、区の区画整理課と財政課が区議会各会派に対し、「直接施行」の準備に入った旨、説明に回った内容についてであり、次のとおりです。

・現在残っている8軒のうち、3軒については目途がついている。(実際は9軒。区は、別個の権利者としてそれぞれ土地家屋を所有している親族宅2軒を1軒とカウントしている)
7月から、順次、「直接施行」に入るための準備を行う。
・費用は、予備費3億円の中から充当する。コンサル委託料、解体工事、移転費などで、11200万円ほど。

 「直接施行」は、土地区画整理法77に定められてはいますが、「制度上ある」のであって、あくまでも回避すべきものです。東京都全体を見ても、この5年間で行われたのは4件。しかも、それぞれ最後の1軒について通知されています。上記、区の説明によっても、移転すべきとされる家屋70戸の1割以上が残っているのが当地の現状です。

 スーパー堤防の工法に関しても、区は、部分的に盛り土を行うことを国に求めていると言います。現状に鑑み、一斉盛り土は困難であり、「直接施行」を「順次」行えば、部分的に着手できるということなのでしょう。しかし、こうしたことに、順番を付ける、ということがあっていいのでしょうか? 一斉盛り土ではなく、部分盛り土となれば、その安全性がより懸念されることにもなります。想定になかったであろう、数々の難問を抱えつつ、スーパー堤防の実際の施工者である国土交通省がどう判断するのか、注目されます。

 さらに、補正予算による拠出であれば、議会審査がなされるところですが、予備費であればそのプロセスを経ることなく執行できてしまいます。第二回区議会定例会は、619日から72日まで開かれ、議案審査を行う総務委員会は625日、所管の建設委員会は翌26日の予定です。「直接施行」の予算を付けるかどうかは、都合のいい時に会派に報告し了承を得るのではなく、正式に議会を通すべき重要案件と考えます。

 区は、あくまでも準備に入ったということであり、実施すると決まったわけではない、としていますが、こうした重要な点について、肝心の住民への説明はありません。区の強引な進め方は当初から指摘されてきましたが、この段階でも同様です。