2回で結審~江戸川区スーパー堤防取消訴訟控訴審①

2014年7月18日 02時06分 | カテゴリー: スーパー堤防, スーパー堤防裁判

 17日(木)午後4時開廷の第二回口頭弁論期日では、控訴人弁護団・田村文佳弁護士が、現地で撮影した映像を使い、原判決の本件事業の必要性・盛り土の必要性の判断の誤りを丁寧に指摘しました。 

・「三方を盛り土に囲まれた窪地状の土地」については、JR高架や堤防に隣接していることでそう見えるだけであり、言葉から受け取る低地では決してなく、「高低差」を言うならば、現地周辺はいずこも同様の状況で、事業計画地特有の問題ではないこと。

・「車の進入路がない」との点については、北側14号線からの進入路はあり、利便性を言うならば、そこに続く右折信号機を付ければよく、西側14号線においても、ガードレールを撤去し、若干の高低差をなくせば簡単に接道できること。

・計画地内の「道路2本が北側階段で行き止まりになっている」との点については、だからと言って、本件事業でこれが解消されることにはなっておらず、新たな道ができるどころか、商業地になる予定であること。 

 などが改めて示され、被告の主張をなぞっただけで、原告の訴えを真摯に聴かず、その確認作業すらできていない上での極めてずさんな判決であった点について、それを裏付ける必要十分な陳述が展開されました。詰めかけた80人以上の傍聴者からも、わかりやすく明快であったとの声が聞かれました。 

 控訴人・高橋新一さんからは、この訴訟にかける熱い思いが、うつむき加減の被控訴人席を時に睨みながら語られました。

「地盤が非常に強固な私たちのまちにそもそもスーパー堤防は不要。JR総武線と蔵前橋通り、千葉街道に囲まれているが、堅固な土地であるからこそこうした公共施設が整備されたのだ。東日本大震災では震度5の揺れがあったが、ヒビ一つ入らず、土手から堤防への裏法面も何の被害もなかった。当初江戸川区はこの土地が軟弱で地震などにより液状化するから、土地改善のためにも盛り土が必要だと言っていたが、その理由は完全に虚構であることが証明された。堤防の破堤を想定してこの事業を行うとの説明もあったが、キティ台風、カスリーン台風のときですら、破堤どころか水害にもあわず、内水氾濫すら経験していない。 

 盛り土には危険性がある。東日本大震災において、仙台では、山を切り土して作った住宅と、盛り土して作った住宅とで、その運命が真っ二つに割れたと報道された。区内清新町でも顕著だった。東京直下型地震がこの数年で起きると予測されているが、人工的に7mも盛り土した土地が、果たしてそのような大震災に耐えうる安全性を有していると言えるか。自分の土地を危険な盛り土にされ、その上に家を再建築することなど怖くて到底できない。1.4haの地区に巨額な費用をかけ危険な盛り土を行い、決して完成することないスーパー堤防を作るより先に、東北の復興を考えるべきではないか。日本国民の血税を使うべきところは誰の目にも明らかだ。 

 本件事業は、一度土地を離れ、再び戻ってくることを前提としているが、体力的に高齢者には到底無理な話。仮に数年して戻って新たに家を建てるにしても、高齢者にはお金がない。80歳、90歳の高齢者に誰がお金を貸してくれるのか。二重ローンになってしまう家もある。84歳の母は、火事の延焼を受け、家を直したばかり。この事業の話を聞くことにさえストレスを感じている。 

 国土交通大臣は、本件事業について「住民の話をよく聞くように」と国会答弁をしているが、江戸川区からは、私たちの疑問に対して、納得できるような説明が全くない。区は、本件地区と同じようにスーパー堤防事業の対象地区である平井4丁目地区については、14階建てマンションの建設を予定している住友不動産から難色を示され、早々に盛り土整備を撤回し、平地のままでの建設を認めている。スーパー堤防は、全ての対象地区の整備が完了して初めて堤防として意味を成すもので、細切れでは意味がない。「本件地区は盛り土整備が必要で、平井4丁目では盛り土は不要」との判断について、その理由を聞きたいと説明を求めても「別の担当者じゃないとわからない」として、結局それ以上の説明はないままだ。区は、「最後のぎりぎりまで話合いを続け任意で移転してもらえるように努力する。」と言うが、区の方がこちらとの話し合いに応じようとしていないことは明らか。こうした状況の中で、直接施行を強行しており、全く納得できない。私たちは、江戸川区長との話し合いを望んでいるが未だに実現していない。江戸川区長には、是非現地を見ていただいた上で、説明を聞きたいと思う。

  裁判所におかれては、是非正当な判決をお願い致します。」

  その判決は、10月2日(木)午後4時、奥田隆文裁判長より同法廷にて言い渡されます。

  なお、控訴人側からは、早稲田大学大学院法務研究科・人見剛教授(行政法)の「行政裁量の審査のあり方」について、横浜国立大学教育人間科学部・安藤孝敏教授(社会老年学)の「高齢者における移転等の負担」について、意見書が提出されています。

 

  ◆「日本環境法律家連盟」発行の「環境と正義」7月号に掲載された、弁護団・福田健治弁護士の「住民置き去りのスーパー堤防事業を全面擁護する江戸川区スーパー堤防事業取消訴訟一審判決」はこちらから。

◆控訴審第1回口頭弁論報告はこちらから。