問題の本質に正面から対峙を~江戸川区スーパー堤防取消訴訟控訴審③

 「2010年5月、被控訴人は、スーパー堤防との共同事業ではなく、単独事業として本件事業計画案を縦覧に供したが、被控訴人は、初めから単独事業の盛り土整備事業を行う意思はなく、あくまで国のスーパー堤防事業との共同事業を行う方針に変更がなかったことは、本件事業計画決定後、直ちに、江戸川区長が国にあて、『高規格堤防事業とまちづくり』の条件が整ったので速やかに基本協定を締結していただきたい、と働きかけていたことからも明らかである(甲18号証)。

 2012年、政権が交代し、予算化されるや、被控訴人は、国交省との間で本件事業の基本協定書を締結し、スーパー堤防事業との共同事業に強権的にまい進しているが、あくまで区の単独事業としての本件事業計画決定に基づき進めているのである。

 このように被控訴人は、時々の情勢により、あるときは共同事業、あるときは、単独事業と使い分けて、住民を愚弄しながら本件事業を進めている。」 

 「被控訴人は、本件訴訟の場においても、また、これからはじまる東京都都市計画審議会における事業変更手続き審議の場においても、詭弁や詐術をこれ以上弄することなく、スーパー堤防事業が江戸川区民のために必要であり、そのために、本件地区の住民は、建物を取り壊し、長年住み慣れたこの地を立ち退く必要があることを、正々堂々と主張し、裁判所並びに区民の審判を仰ぐべきである。本件事業が、一体何のための、誰のための事業なのかを明確にして審判を仰ぐべきである。」 

 「当裁判所におかれては、本件各証拠に照らし、本件事業の問題の本質に正面から対峙し、控訴人らが人生をかけて投げかけて問うている疑問、『一体、何のための、誰のための事業により、自分たちはこのような辛苦を負わなければならないのか』という疑問に、形式論理でごまかさず、正面から答えていただきたい。そのことを心から期待する。」 

 弁論の後、奥田隆文裁判長は、控訴人らから求められていた現地視察の申請を「却下する」と告げました。控訴人代理人の福田健治弁護士からその理由を問われると、「プロジェクターにより現場の説明はしてもらった。証拠も出してもらった。現場に出向く必要はない。」と。  そしてこの日の朝、最初の一軒について、直接施行完了宣言を行った被控訴人側は、弁論を行わないまま、結審となりました。

 お知らせしていますとおり、判決は、10月2日(木)午後4時、東京高裁101号大法廷 

裁判後、傍聴者らに報告を行う大江京子弁護士。衆議院第二議員会館にて。

にて言い渡されます。