避けられた国の見解~公共事業改革市民会議への回答

  8月21日に公共事業改革市民会議が提出した江戸川区及び国交省江戸川河川事務所への公開質問の回答が、同市民会議のHPに掲載されています。 

 国に対しては、区が盛り土の施行者となっている事業計画のまま、国が盛り土することは「土地区画整理法」に基づく事業計画を逸脱するのでは、との疑問に対し、見解を求めています。しかし、その回答は、

「~ 抵触するものではないと江戸川区から聞いています。詳細は江戸川区にお聞きください。」と、国としての回答を避けた格好です。 

 国交省では都市局市街地整備課が土地区画整理事業を所管しており、市街地整備制度調整室なる部署もあります。こうしたところとの総合的な協議を経て国としての回答が必要ではないかと思いますが、縦割りの枠組みの中では、ままならないということでしょうか。しかし、本件事業が、異なる2つの事業を一体的に行う以上、まして今後も続ける意向ならばなおこのこと、こうした疑問への説明は、国として明確になされなければなりません。

 すでにお知らせしたとおり、国は一斉盛り土を諦め、6月、部分盛り土(段階施工)工事を発注しましたが、この間、施工には至らず。部分盛り土の施工範囲にまだ権利者の方が居住されており、発注はしたけれども、STOPしている状態です。長年そこで生活を営んできた方々には、それぞれ健康状態、経済面などさまざまな事情があります。居住者がいながら、いないも同然とみなしての工事発注も相当の勇み足だったのでは? 

 一方、東京都都市計画審議会に15名から申し立てられていた口頭による意見陳述は、10月3日(金)または5日(日)、小岩区民館にて行われることに。時間は一人5分のみ。13世帯60名が暮らす「石木ダム」の事業認定に対する不服審査請求の意見陳述が、今月26日、国交省でありますが、こちらは、お一人からの申し立てで約1時間とのこと。そこまでは求めないにしても、同省関東地方整備局の「利根川・江戸川河川整備計画」に対する口述でも一人15分は確保されていました。都の審議会での口頭陳述が、「審査の迅速性」(と「申立人の公平性」)により却下され、場所を別に移しての口述ならば、もう少し時間配分を考慮すべきではないでしょうか。

  ところで、9月10日の大雨について、江戸川区危機管理室が同日23時30分に出した速報では、60分雨量の最大が、区役所のある中央地区で94.5㍉、次いで小岩85.5㍉、小松川85㍉。1日の積算雨量は、小松川160㍉、中央157.5㍉、小岩151㍉。床上浸水22件、床下浸水29件、道路冠水62件など、とされ、小松川や中央はメディアでも取り上げられたほどの被害でしたが、同程度の雨量を観測した小岩地区では被害はありませんでした。「北小岩は水害とは無縁」と主張してきた住民の声が今回の豪雨でも証明されたことに。一方、タクシー冠水による人命救助も1件あった小松川や、被害の大きかった平井7丁目、さらに市川市は、皮肉にもスーパー堤防が整備されている地区。点の整備では、スーパー堤防の周囲に水が付く、と指摘されてきたこととの関係性を確認する必要があります。気候変動への備えは、過去の水害や今回の被害に照らし、やはり内水対策こそが喫緊の課題です。江戸川ネットのHPも合わせてご覧ください。

 *18日、危機管理室からの訂正

「床上浸水」  15件(本一色・上一色)

「道路冠水」  62ヵ所(中央1~4丁目 平井1・2・5・7丁目 松江1~2丁目 松本1丁目 松島1・2・4丁目 西小松川 東小松川)

 

 

◆「石木ダム」建設による強制収容に反対する署名はこちらから。

豪雨がやんだ後、午後8時30分頃の、小松川1丁目のスーパー堤防下の交差点では、まだくるぶしまでつかるほどの水が。