国の判断を是とすることは当然?~江戸川区のご都合主義

2014年12月10日 23時04分 | カテゴリー: スーパー堤防, まちづくり

  住民が平穏に日々の生活を営み、歴史が根付く篠崎地区に、仮にも耐越水対策が必要だとしても、もはやそれがスーパー堤防でなければならないということではないはずです。  

 なぜ、スーパー堤防か、ということについては、依然として、昭和63年の河川審議会の答申に遡りますが、自然災害の状況もこの間変化を見せています。四半世紀前に導入されたスーパー堤防という超過洪水対策が、現状、施行範囲を首都圏・大阪圏の5つの河川の下流域120kmに縮小してさえ、整備中のところも含め、わずか16.4㎞、14%しか進捗していないのはなぜなのか、その現実こそを受け止め、将来の対応を考えるべきです。 

 私たちはこれまでも、住民を立ち退かせる必要もなく、費用も抑えられる、鋼矢板やソイルセメント壁などを使用するTRD(連続地中壁)工法など、別の工法をとるよう国に求めるべきという提案もしてきました。 

 これに対し、区はこの間、「土堤原則」を根拠に、また、日本土木学会の学説を引用し、「スーパー堤防事業しかない」との答弁に終始してきました。しかし、その土木学会は「盛土である堤防はいったん越水が生じると破堤に至りやすいという性質を本来的に有する」ことも認めています。東日本大震災では液状化や法面すべりなども起き、水だけではなく、地震に弱いことも露呈しました。今や「土堤原則からの脱却」を説く専門家もいます。

  また、区が、他の工法の不備について引用する、土木学会が2008年に発表した「耐越水堤防整備の技術的な実現性の見解」においても、スーパー堤防に関し、「対象とする堤防を、ある程度緩傾斜化した場合の耐越水効果を定量的に把握できる手法は現在のところ確立されていない」との報告があります。この見解からは、なぜ越水・浸透しても壊れないと国や区は断言できるのか、という疑問を持たざるを得ません。さらには、「大幅な用地確保の必要が生じるため、大河川の堤防強化の手法としては社会的あるいは経済的観点からも現実的な越水対策とはなり得ない」とも指摘しているのです。 

 これについては、会計検査院も同様に指摘しており、これら課題が解消されたとの説明は未だにありません。 

 2日の江戸川ネットの一般質問では、「この指摘を区はどのように受け止めているのか。また、こうした専門家の意見に基き、他の工法の検討を国に求めるべきと考えるがどうか」と問い、多田区長は、

 「学問的にいろいろ意見があるのは当然。土木学会がどうしたこうしたというより、治水について責任をもつ国、国交省が長年にわたる日本国土における治水の問題を考えながら、いろんな学説を考慮し、その経験則も踏まえ、土木学会としてではなく、国家として、この方法がいいでしょうと決めたこと。私たち自治体はそれを是としていくことは当然」と答弁しました。 

 国の判断が常に正しいと必ずしも言えないことは、本件のみならず、特定秘密保護法など別件においても見られることであり、そのまま無条件に自治体が是とするなど、むしろ恥ずべきこと。同じ低地帯にある近隣区において、江戸川区のようにスーパー堤防事業を積極的に推進するところはありません。 これが多くの自治体の判断。

 国の判断に反し、児童福祉法によらない江戸川区独自の事業として、学童クラブを内包した「すくすくスクール」事業を実施する、首長のご都合主義が際立つだけです。