区と国、両者示せない見解~江戸川区スーパー堤防仮換地処分取消訴訟第5回口頭弁論期日①

  この裁判は「区が事業計画変更を決定しない段階での仮換地指定処分は違法」と訴えているもの。27日の第5回口頭弁論では、「スーパー堤防事業実施には地権者の同意がいるはずであるが、国はその手続きをとっていない」との原告の主張を受け、被告・江戸川区は、「地権者の同意は要るのか要らないのか」「要らないとしたら、どのような理由で国が盛り土できるのか」を明らかにするよう、谷口豊裁判長から求められていました。 

 2日前の25日に開かれた「江戸川区スーパー堤防差止訴訟」において、国は当地でスーパー堤防事業を行う法的権限を問われながら、「追って書面で回答する」と言うばかりで回答を先送りに。その書面提出が5月になることが表明された直後であり、区は「国の見解を待っているところ」との想定内の答え。すでにスーパー堤防事業は着工されているというのに、両者のこのいい加減さは一体どういうことでしょう?  

 福田健治弁護士が土地区画整理法100条の2によれば、当地は区が管理する土地。区が、国の工事を許容する判断をしているから、(国が)この工事を行っているのではないのか」と詰め寄りましたが、あくまでも「国の結果を踏まえて主張したい」。 

 地権者の同意の問題について、裁判長は「法律論に組み込まれていくのか、はっきりしていない」としたものの、被告の態度に対して「いつまでも国の見解を待ってから、というのでは困りもの」との指摘を受け、区は「5月1日までに書面で回答する」と。 

 大江京子弁護士からの「区として、国の工事について区の判断を述べることができないとは? 書面の意味は?」との問いにも「区の認識を(今ここで)述べることはできない」。 

 裁判長は「別訴(差止訴訟)において、国の見解が出るのが5月1日なら、それを踏まえて」次回の期日を決めることとし、日程を問われた区は「それから1か月あとに」と回答。 

原告側「1か月も何に時間がかかるのか。それほど難しいことなのか?」

被告側「難しいです」 

 「おそらく重要なポイントなのだろうから(時間もかかるだろう)」との裁判長の言葉を受け、福田弁護士は最後に「現在、(その重要なことが)論じられないまま工事を行っている。遺憾である」と主張しました。 

 原告からは途中、思わず「おかしいよ」「その間、工事止めて」との声が。不規則発言であり、裁判長からの注意もありましたが、行政が自ら行っていることを説明できないことに我慢も限界に達したということだったのでしょう。

 次回期日は、6月5日(金)午前11時、803号法廷 にて開かれます。