鬼怒川決壊に学ぶ~本当に安全な堤防とは④被害者救済と法の確立のために~「裁判から見えてきたスーパー堤防の真実」より

2016年4月26日 11時03分 | カテゴリー: スーパー堤防, スーパー堤防裁判

小島延夫弁護士。現在、日本弁護士連合会公害対策環境保全委員会委員長、早稲田大学大学院法務研究科教授。水俣病東京訴訟、六価クロム訴訟、日照・景観・まちなみ保護等、住民運動事件を多数担当されている。

130人を超える参加者を前に語る小島延夫弁護士。現在、日本弁護士連合会公害対策環境保全委員会委員長、早稲田大学大学院法務研究科教授。水俣病東京訴訟、六価クロム訴訟、日照・景観・まちなみ保護等、住民運動事件を多数担当されている。

江戸川区スーパー堤防仮換地処分取消訴訟判決の10日ほど前、今月9日の第3回江戸川防災勉強会「鬼怒川決壊に学ぶ~本当に安全な堤防とは」で、全国初のスーパー堤防裁判の弁護団長を務められる小島延夫弁護士(東京駿河台法律事務所)は、「裁判から見えてきたスーパー堤防の真実」の中で、国がスーパー堤防事業を行うことができない理由を次々と挙げられました。

・スーパー堤防の場合、所有権が施行者である行政に移ることはない

・具体的な施行手続きは存在せず、裁判で一貫して、別個の事業としてきた土地区画整理事業という別の枠組みを使って行っている

・当初の土地区画整理事業計画では、江戸川区が盛り土を行うとして、「設計の概要・造成計画」の中にスーパー堤防は入っていなかった。国との共同実施協定締結後、速やかに事業計画変更をした上で、仮換地指定という行政処分を行うべきところ、それを行わないまま行政処分を下している

・本来は、スーパー堤防築堤についての住民の同意が必要であり、地権者は自分の土地にスーパー堤防をつくることを承諾していない

・河川法では、スーパー堤防ができて初めて、そこが河川区域となるのであり、スーパー堤防をつくるための区域決定の手続きはない

「人の権利を制限するに法の根拠が必要であることは、近代行政法の最大の原則」とした上で、仮換地処分取消訴訟について、「住民が立ち退いたあとの土地をどう『管理』するか。施行者が『管理』できるものの、同法には別個に『工事』条文があり、ここで言う『管理』は、スーパー堤防のように大幅に形を変える『工事』権限まではない。おかしなことをやってはいけない」と。

そして「鬼怒川決壊も遡れば昭和59年、堤防が決壊しても国は責任を問われないとした『大東水害訴訟最高裁判決』をいいことに河川整備をないがしろにしてきた。法律に関わるわれわれの責任は極めて重く、深く陳謝する」と述べられ、法律家として訴訟を起こす意義を、

  1. 現実に被害を受け、苦しんでいる人たちを救済する
  2. 世の中のルールを法としてきちんと確立し、どのような政策を行うべきかを明確にする

と、話されました。

国を相手取った第三の訴訟「スーパー堤防差止訴訟」では、裁判長の突然の異動に伴い、予定どおり結審できず、3月の期日が6月まで延期されました。こういう事態では、ここまで担当してきたことについて、一定の責任を果たすこともあるそうですが、どう判断したものやら、混迷を極める訴訟指揮から逃れられると、さっさと異動してしまった、というところでしょうか。

「多くの人の関心を傍聴などで示し、裁判に関わることで、裁判所を変え、法を実現していこう」と結ばれました。

 

◆当日は、鬼怒川決壊で被害を受けた常総市の方々も参加されました。国に対し、「常総市水害の被害者に対して『国民の生命と財産を守る』国の使命に基づき支援制度改善と実態に見合った損害額賠償を求める署名活動」を行っていますので、こちらからぜひご協力をお願いします。第一次締め切りは5月8日(日)です。