広がりを見せる学校給食費公会計化~文科省「学校現場における業務の適正化」へ

学校給食費の公会計化(公費化)が徐々に広がりを見せています。

追い風となっているのが、文部科学省が本年6月17日、同省生涯学習政策局長・初等中等教育局長名、並びにスポーツ庁次長・文化庁次長名で、各都道府県教育委員会教育長及び各指定都市教育委員会教育長宛に出した「学校現場における業務の適正化に向けて」の通知です。骨子はこちらから。

同省では本年4月、「次世代の学校指導体制にふさわしい教職員の在り方と業務改善のためのタスクフォース」を設置。学校現場環境の複雑化・多様化を踏まえ、教員が学習指導要領に則り、授業改善に取り組む時間や子どもと向き合う時間を確保できるよう、教員一人一人の力量を高め、発揮できる環境を整えるよう、方策が取りまとめられてきました。

部活動における休養日の設定の徹底をはじめとした運営の適正化や、勤務時間管理の適正化の必要性等が示されるのと同時に、私が2011年、区議として最後の一般質問(P63)でとりあげた学校給食費の公会計化(公費化)についても、「学校給食費の取り扱いについては、学校を設置する地方自治体が自らの業務として学校給食費の徴収・管理の責任を負っていくことが望ましい」と明示されました。従来の行政実例に基づいた文科省判断から180度転換、現状の私費会計を改め、公会計の導入を促すものとなっています。

これに伴い、文科省は制度の整備や必要な予算措置も含めた業務改善のための方策を実施し、学校現場における業務の適正化に向けた支援に取り組む、としています。そのうえで、各教育委員会における業務改善に関し、適切な時期にフォローアップを行い、その推進を図るとして、国と教育委員会、学校が一体となって取り組みを推進し実効性を高めていく観点からも、各教育委員会に対し、本通知を踏まえた学校業務適正化の一層の推進に向けた支援に努めることを求めています。

文科省「学校給食費の徴収状況に関する調査の結果について」によると、2012年時点で、公会計の実施率は小学校28.2%、中学校37.4%、計30.9%。中学校の率が高いのは、そもそも給食完全実施が少なく、実施にあたってはセンター方式(共同調理場)の採用が多いため、自治体としての一括管理が合理的との判断によるものと推察されます。横須賀市では、中学校の完全給食化に伴い、公会計化も同時に行うこととしています。「中学校給食のあり方について」(横須賀市教育委員会)P6参照。

世田谷区も、太子堂調理場でのセンター方式をとる中学校8校については特別会計として、従前より区としての給食費会計を設けてきましたが、向こう2年間で、独自献立、自校方式等現状の特色は維持しつつ、全小中学校を特別会計へ移行し、全校公会計化することになりました。都内ではあきる野市、国分寺市に次ぐ公会計化です。

他に2017年度の公会計化を表明しているのは北海道北広島市山口県下松市秋田県秋田市等。福島市は「福島市学校給食長期計画2016」で公会計化の方向性を明示。秋田市では「学校給食費に関する条例」も制定される予定です。本年9月の第三回定例会では、金沢市議会や岐阜市議会等において、公会計化検討の答弁がなされています。