日米地位協定の正常化を~特権の見直しこそ

2017年1月19日 00時42分 | カテゴリー: 平和

 自衛隊が「駆けつけ警護」を新たに付与され南スーダンに向かう直前の昨年11月、東京・生活者ネットワークが開いた「国政フォーラム」でお話くださった伊勢崎賢治さん(東京外国語大学教授・国連PKO幹部として数々の紛争解決の現場に立ちあわれてきた)が強調されたこと、それは「地位協定の正常化に向け、日本が他国並みの努力をすること」。

地位協定に盛り込まれるのは裁判権、環境権、管理権など。沖縄で痛ましい事件が数々発生していることからも、特に重要なのは裁判権ですが、日米地位協定は非常に特殊な内容。ドイツ、イタリア、韓国、フィリピン、アフガニスタンなど、地位協定を持つ国は数々ありますが、日本ほど譲歩している国はありません。

 過失・事故が公務内であればアメリカの法、公務外なら日本の法に基づいて裁かれます。その対象は軍人、軍属。昨年、沖縄で女性を殺害した犯人は「軍属」とのことでしたが、単に「アメリカが雇っている業者」であり、他の国の協定ではそもそも「軍属」には入りません。こうした業者の場合、公務内であっても受け入れ国の法律で裁くのが通常ですが、日本はそうではなく、業者でも「軍属」に分類、特権を与えていました。

 このたびの「日米地位協定の軍属に関する補足協定」では、その「軍属」の定義を明確化したといい、政権は「画期的」としていますが、他国ではすでに当たり前のこと。前進には違いありませんが、他国が当然のこととして確保している根本的な特権の見直しこそ進めるべきです。補足協定の内容はこちら。「軍属」明確化は、3.に8項目が示されました。

 ドイツやイタリアは裁判権、環境権、管理権において互恵関係を持っています。その協定の主語は、「受け入れ国」と「派遣国」。ドイツ軍がアメリカに駐留し、事件を起こした場合、アメリカは同じ特権を認めなければなりません。国同士対等の関係ですが、これに対し、日米地位協定の主語は、アメリカと日本です。

 ドイツやイタリアはNATO加盟国だから、というわけでもなく、フィリピンも同様で、フィリピン軍が公務でアメリカ駐留中事故を起こした場合、アメリカの司法は及びません。さらに、フィリピンは核の持ち込み厳禁を地位協定に入れたといいます。

 イラクやアフガニスタンは、完全ではないけれど、準互恵性を獲得。アフガン国内では公務内のアメリカ軍にアフガンの司法は及ばず、本土に強制送還され軍法会議にかかることになりますが、その会議への立ち合いをアフガン政府は認められ、犯人がきちんと裁かれるかどうか見届けることができ、透明性が確保されていますが、日本にはこれもありません。

 2009年に地位協定を結んだイラクでは、米軍基地を使って他国への武力行使を禁止することが明記されたといいます。イラクは米軍の駐留を、イラクの治安のために認めるのであり、その基地を使って他国への武力行使をしてはいけないことをアメリカに認めさせたのです。日本ではベトナム、アフガン、イラク戦において、沖縄から米軍海兵隊が飛び立ちました。 

「主権が認められていないのは韓国と日本だけ」と伊勢崎さん。米軍が何を自国に持ち込むか、どういう訓練をするのか。日本と韓国以外のすべての国は許可制となっており、いつ何どきでも立ち入り検査をするといいます。

 さて、日本の内閣総理大臣の知る権利はどうか。横田空域からどういう人物が入ってくるのかを日本は知らなくていいのか・・。不平等を抱えるもうひとつの国、韓国にさえ、横田空域のようなエリアはありません。

 今回「軍属」の範囲を狭めるといっても、日本における彼らの特権は揺るぎません。今回コントラクターに関して盛り込まれた「合衆国軍隊の任務にとって不可欠であり、かつ、任務の遂行のために必要な高度な技能又は知識を有している」その適格性の判断は、オスプレイの墜落を「不時着」と言ってのけるアメリカが差配する?

 他国が変えている地位協定を60年間変えてこなかった日本。お金をどこよりも出す日本。他国の交渉に学び、確かな前進を。