非論理的・非科学的判断は改められるべき~江戸川区スーパー堤防差止訴訟控訴審第1回口頭弁論④

2017年6月5日 01時48分 | カテゴリー: スーパー堤防裁判

三番目に、西島和(いずみ)代理人が、治水の面から、北小岩1丁目でのスーパー堤防の必要性に対する疑義について陳述されました。

① 当地では破堤の可能性がないこと
原判決は当地で「破堤の可能性がある」としたが、流域全体で見ても、最下流域での整備は進んでおり、流域で最も安全度の高い箇所。超過洪水が起きるとすれば、それは上流で起きる。

② まちづくり事業ありきで、治水優先ではないこと
スーパー堤防はまちづくりと一緒に行う事業である以上、まちづくりの計画がなければやらないのであり、やってもやらなくてもいい事業である。一緒にやった方が「効率的」と言ったところで、約20kmの整備計画の中でこの箇所だけのこと。

③ 完成見込みはなく、前後の未整備箇所では洪水の危険があること
計画されている20kmの完成見込みはない。当地の延長150mについては「治水効果はある」と言うが、仮にその前後で越流があれば破堤することになる。スーパー堤防はあってもなくても洪水は発生するのである。治水効果が望めないばかりか、流域全体の安全性を低下させている。

④ 避難場所にはなりえないこと
スーパー堤防が水害時の「避難場所」として機能すると言うが、洪水が起きそうなときに、川に向かって逃げるなどありえず、不真面目な判断である。このようなことを裁判所に言ってほしくない。

⑤ 費用対効果の根拠が示されていないこと
費用便益計算は「治水マニュアルに沿っていなくても信頼できる」としたが、では当地でのB/Cは何に基づいてなされたのか。根拠を求めたが、説明は全くない。非科学的な判断をしている。

西島代理人は、河川整備計画の何たるか、利根川・江戸川の整備状況がどこでどの程度進んでいるか、完成の見通しのないスーパー堤防事業を進めることによって地域や流域全体の安全度がどうなるかといった基本的な事実を理解せず、しようともせず、本件スーパー堤防の必要性を追認した原判決は改められるべきとし、本件解決に必要な基本的事項を正しく理解されることを期待する、と述べられました。

 

【原判決の三段論法の誤り】
1. 洪水は自然現象であるから、超過洪水が発生する可能性はある。
2. 一般堤防は越水すると破堤する。
3. 超過洪水が発生すると、一般堤防であった本件区域では越水し、破堤する。

<原判決対する控訴人の主張>
 原判決は、超過洪水の意味、超過洪水が発生すると、どこでどの程度越水するかを正しく理解していない。
1. 超過洪水とは利根川水系の上流で発生する降雨によって生ずる7000㎥/秒を超える洪水である。
2. 江戸川の上流は5000㎥/秒の洪水を安全に流下させられない区間が大半であるのに対し、本件区域ではすでに約5800㎥/秒の流下能力がある。
3. したがって、超過洪水が発生した場合、洪水は上流で相当程度氾濫して減少するから、本件区域で越水・破堤することはない。

<上記に対する被控訴人の主張>
「超過洪水が発生しても、江戸川の上流で相当程度氾濫し、流量が低減するとは必ずしも言えない」