「文書提出命令」申し立て~江戸川区スーパー堤防差止等訴訟控訴審第4回口頭弁論期日

1月11日(木)午前11時から、東京高裁101号大法廷で開かれた第4回期日では、控訴人から文書提出命令の申し立てがなされたことが、都築政則裁判長から告げられました。

申し立ての理由は、控訴人の求めに応じ、国が提出した、盛り土工事後のボーリング調査結果、及び地耐力不足対策工事前と対策工事後のボーリング及びスウェーデンサウンディング調査結果について、いずれにおいても調査地点を特定するために必要な情報が黒塗りにされていたからです。

裁判長が「申し立てについて、国から意見を出してもらい、その後判断する」と言い渡したところ、国の代理人が起立し、意見を述べるかのような言動を。裁判長も驚いた様子で「今、この場で意見を言うんですか?」と確認。このような重要な局面で、即座に口頭で意見を述べるなどまずありえないことなのでしょう。「いえ・・。意見を出さないというわけではないが・・」などとうろたえる代理人に、裁判長は「意見書を出してもらいたい」と。

さらに「事案の性格上急ぎたい」と、意見書を早く提出するように求め、煮え切らない国に対し、「2月13日まで」と期限を定め、「何らかのものを出すなり、出さないなり、反応を示してください」と。

陳述された控訴人代理人の小島延夫団長は、
「通常、図面上どこかが特定されなければならず、国は当然保持しているはず。これでは対策をしたと言っても、土地がどのような状態にあるのかまったくわからず、地耐力不足の土地の安全性が確保されたとは到底言えない」
「対策工事は一部区画のみで、それ以外は安全が前提。しかし、スウェーデンサウンディングだけでいいのか。各区画5点でなされたが、区画の広さにはバラつきがある。地耐力だけでなく、不同沈下の問題、地すべりの問題もある。具体的な地盤の状況がわからなければ、わからない」

国が個人情報を盾に黒塗りとしたことについては、
「登記簿謄本は公開されている。現在の所有者は長い間の一時期の所有者であり、交替していくもの。土地の地質や形状などの情報は基本的には公になっている情報であり、土地そのものが公共性を有することを考慮すれば『公にすることが予定されている情報』(行政機関情報公開法5条1号但書イ)に当たる。非開示の理由にはならない」
「土地の地盤の状況についての情報は、土地の安全性のみならず『人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報』(同ロ)にも当たる。安全性が欠ければ危険性が増す可能性は十分にあり、データの開示は必要不可欠」
と主張。

「国はその点を踏まえて判断すべき」と迫り、裁判所に対しても公正な判断を求められました。

裁判長は、文書問題を確定したうえで、証人採用についての判断をしていくと明言されました。よって、第5回期日は未定。早くとも4月末ではないかと思われます。

控訴人から、3人の人証申請をしていることはすでにお伝えしていますが、このたび、国からも、関東地方整備局河川部河川調査官・青野正志さんを証人とする申し出がなされました。利根川・江戸川河川整備計画及び本件スーパー堤防事業に最も精通した方で、地耐力不足対応にもあたり、責任をもって説明できる立場にある、とのこと。(国交省レクでも説明されていたことがあります。)国は依然、控訴人が申請している3人の方々の証言は不要、としています。