問題山積のスーパー堤防、それでも宅地利用?

国交省関東地方整備局は、今夏3回行った「宅地利用に供する高規格堤防の整備に関する検討会」のとりまとめを12月27日、公表しました。

高規格堤防(スーパー堤防)はまちづくりと一体整備が基本でありながら、北小岩では、宅地造成のための地盤強度の基準としてきた30kN/㎡に満たない箇所が続出したことから、急きょ検討会が持たれていました。

お伝えしていますとおり(こちら)、内容は今さらの観が満載。

致命的な北小岩の事例は3Pに記載。「地質状況を把握した上で」設計し、「プレロード盛土による圧密促進工法を採用した」と書かれています。江戸川ネットは、2012年、現地における東西の地質が異なることを指摘。そのうえで盛り土をどのように行うのか、質問していました(こちらから)。ここまでの国交省ヒアリングや議会答弁からは、本当に「地質状況を把握した上で」実施したことなのか、疑問を禁じえません。

次から次へと問題が露呈。予想もしなかったであろう苦難の道を歩みながらも「区費ゼロでまちづくりができる」ことに最大の魅力を感じてきた、と思われる江戸川区にとって、注目すべきはP7「事業における役割分担」。

・30Hのラインの、その先にもなされた盛り土は、国の負担か、自治体の負担か。                ⇒「30H内に準じる」として「国の施工が考えられる」。

これは、まさにこれから江戸川区上篠崎でなされようとしているスーパー堤防事業を想定してのこと?

上篠崎では、30Hラインよりも先まで盛り土をすることになっており、さらに、事業エリアから離れた飛び地に換地される「飛び換地」までなされることになっています。飛び換地先は畑だったところ。地盤は軟弱。宅地造成にあたっては地盤改良は不可避です。

「飛び換地」は区が行う区画整理事業上のものですが、国のスーパー堤防事業ゆえに移転を余儀なくされる結果でもあります。さて、その費用、一体どうなるのでしょうか?

スーパー堤防は、首都圏と大阪圏の5つの一級河川でなされる国の直轄事業ですが、実は盛り土の宅地造成における要件については、地盤強度について定めたものはないとのことで、2000年、建築基準法施行令第38条にもとづき、建設省告示がなされています。こちら(P5)から。そして江戸川(関東地方整備局)では30kN/㎡、大和川(近畿地方整備局)では20kN/㎡を基準としているのです。東西で異なった基準となっているのはなぜなのでしょうか。素朴な疑問。

急いで開かれた検討会、年末のとりまとめ。1月の裁判期日までに、宅地造成における課題に対応していることを示しておく必要があったということでしょうか。

◆江戸川区スーパー堤防差止等訴控訴審第6回口頭弁論期日は、2019年1月18日(金)、東京高等裁判所101大法廷にて、午後1時開廷。3名の証人の方々への尋問がなされます。傍聴券配布事件です。20分前までに正面玄関までお出かけください。大勢で傍聴し、真実を聞き分けましょう。

それにしても、川沿いの地域を部分的に高台にして宅地をつくる。このご時世、それってどうなの? ・・なんて話は委員の誰からも出なかったのですかね。普通の人が思っていることに思いを馳せられないって、それこそどうなの? だからまちづくりには市民参加が必要です。