「盛り土できる法的権限」認めた判決に対抗~江戸川区スーパー堤防差止等訴訟控訴審結審③

2019年3月18日 18時38分 | カテゴリー: スーパー堤防, スーパー堤防裁判

江戸川区の土地区画整理と一体的に行うスーパー堤防事業において、国はその盛り土を行う法的権限を有するのか?

第二次訴訟「江戸川区スーパー堤防仮換地処分取消訴訟」でも、そして第三次訴訟である今回の「江戸川区スーパー堤防差止等訴訟」においても、この重大争点について堂々たる論陣を張ってきた福田健治代理人は、控訴審最後の陳述を次のように切り出されました。

「裁判長にお聞きします。裁判長が所有する土地について『管理』をお願いしたところ、突然、その土地に数メートルの盛り土をされてしまったとしたら、裁判長はどのように思われるでしょうか?」 

一審判決「土地区画整理法100条の2に基づき、被控訴人江戸川区が有する『管理』の権限に基づき、国は本件盛り土工事を行うことができる」と認めたことに対して、福田代理人は、

「このような解釈は許されない。なぜなら、区画整理中の土地上での『工事』権限については、別に法80条が、その主体と『工事』の内容を定めているからである」と、3つの論点を上げ、改めて対抗されました。

「第一に『管理』という文言には通常の意味からして『工事』は含まれない」

「『管理』とは一般に、性質を変更しない範囲で利用し改良する行為を指す。本件は最大7メートルの大規模な盛り土を行い、土地の形状を改変するのであり、これは『管理』には含まれない」 

「第二に、法の構成上も誤りである」

「法80条は『工事』、法100条の2は『管理』を、仮換地指定がなされ使用収益ができる者がいなくなった従前地という同じ対象について規定している。法は『工事』と『管理』とを別の概念として位置付けていることは明らかである。もし、100条の2に『工事』権限を含むのであれば、80条は不要な条文になる。条文の存在につき、意味を失うことが許されないのは明らかである」 

「第三に、立法の経緯からも正当化されない」

100条の2は、同法の昭和34年改正により設けられた。この立法趣旨は、公共施設予定地や保留地予定地等について、事業の目的に沿って維持管理し、または事業遂行のために第三者に使用収益させることができることを明確にする目的で追加されたもの。この法改正では、100条の2の『管理』に土地区画整理事業外の『工事』を許容するとは一言も議論されていない」

そして、第二次訴訟の一審判決及び控訴審判決、さらに本訴訟の一審判決が、法100条の2の『管理』権限に基づき、盛土工事を正当化しながらも、この3つの判決においては、その論理の筋道が大きく異なることを指摘。 

「仮換地処分取消訴訟の一審判決は『同法106条と、100条の2との間に連続性がある』とした。しかし、この解釈はその控訴審判決でも、本訴訟の原審判決も採用していない」

「仮換地処分取消訴訟控訴審判決は、100条の2の『管理』に『工事』が含まれるかどうかに触れることなく『国が行う工事について、区が同意をする権限がある』とした。しかし、同意によって第三者に対する権利侵害が正当化されるのは同意者がそもそも権限を有している事項であって、同意によりその権限が委託・委任とみられる場合か、同意を受ける側がそもそも本質的に権限を有しているところ、その権限の行使を政策上の目的から同意者による同意に係らせている場合に限られる」

「国が工事をする権限も認めない、区が工事をする権限も認めない、ただ区が国の工事に同意をする権限を有するなどという判決が正当化される余地はなく、理由もない」

このように3つの判決が、それぞれ異なる論理構成を取っていること自体、法100条の2の『管理』権限から本件盛土工事を正当化しようという解釈が、いかに無理があるか、苦しいものかを如実に表している」 と言及。

「これに対し、われわれが主張する100条の2の『管理』解釈は、標準的で安定的な解釈である」とし、

「裁判長にはいずれの解釈が優れているか、曇りのない目で判断していただくようお願いします」と締めくくられました。