スーパー堤防必要性の根拠崩れる~江戸川区スーパー堤防差止等訴訟控訴審結審④

2019年3月22日 01時24分 | カテゴリー: スーパー堤防, スーパー堤防裁判

北小岩1丁目東部地区にスーパー堤防を建設する根拠について、国と江戸川区は「『超過洪水』が発生した場合に本件施工区域で越水が起こる可能性がある。通常堤防は越水によって決壊する可能性があり、江戸川下流で堤防の決壊が起こると甚大な被害が発生するから、その対策としてスーパー堤防整備が必要」としていました。そして、原審は「洪水は自然現象であるから、江戸川下流で越水するような洪水が発生する可能性はある」としてスーパー堤防整備の必要性を認めたのでした。

洪水は自然現象ですが、お伝えしているとおり、スーパー堤防が対象とする「超過洪水」は、あくまでも「河川法に基づく計画の目標流量を超える規模の洪水」であって、それは「利根川上流の治水基準点である八斗島上流の降雨によって発生する」ものなのです。

前回の証人尋問において、国の証人と対峙した西島和代理人は、なかなか明快に答えようとしない国交省の証人に、このことを証言させました。スーパー堤防の必要性について、国や区の主張及び原審判決が誤りであったことが明らかになったと言えます。

結審となった日、西島代理人は、控訴人らが苦しめられている不条理について、「慣れ親しんだ環境で平穏な生活を送るという人生設計が狂わされたこと、しかもその原因であるスーパー堤防に治水対策としての必要性・公共性が認められないこと」と前置き。

江戸川上流での越水可能性について、国の証人が「7000㎥/秒の洪水が越水するかどうかには答えられない」とした証言を追及。「『流下能力』という概念を基準とする限り、越水するかどうかは引き算で答えられるはず」とし、「『流下能力』は『スライドダウン堤防高―余裕高』で評価された堤防高を基準とする計算上の数字であり、実際の河道が流下させられる流量とは異なるが、国交省が治水計画をたてる際の基本としてきた数字。したがって、治水計画に関する事項については『流下能力』を基準に答えることが当然であり、国交省がこの数字を用いて質問に答えられないということは、スーパー堤防に関してまともな説明ができないことの表れである」と、国交省の主張に無理があることを指摘されました。

まちづくりとの共同実施であり、河川管理者である国交省だけではすすめられない「治水計画」である以上、このことだけでも治水対策としての必要性に疑問があること、やりやすいところから進めていても整備率がわずかであり、今後は整備がさらに困難であること、さらに「緊急の避難場所」と証言し、原審もこれを是認したことについては、三郷市江戸川タイムライン(防災行動計画)を引き合いに、次のように対抗されました。

越水可能性を前提としてスーパー堤防をつくるのに、越水するかもしれない、通常堤防が破堤するかもしれないときに堤防へ逃げろということ自体、きわめて危険な行為を勧める言説で、無責任かつ非常識。大雨による水害は事前に災害・被害が想定される進行型災害であり、こうした災害に国交省は、タイムラインを立てて計画的に避難等を行うことを推奨している。『スーパー堤防が避難場所』と言うことは、計画的な避難によって安全が確保されることを阻害する誤ったメッセージを発することで、裁判所が是としてはならないことである

裁判報告集会で説明する大江京子弁護団事務局長。写真左が西島和代理人。中央が小島延夫弁護団長。