これまで総務部に置かれていた課組織の「危機管理室」は自然災害のみならず、危機管理全般を所管していましたが、新たな部組織となった「危機管理室」は、完全に自然災害にシフトした格好です。
こうした組織改編の一方で起こった人災、一家心中では子ども2人を含む4人が犠牲になりました(詳細は新村さんのHP参照)。他の自治体からの転入直後であること、学校の欠席状況、子どもの異変への周囲の気付きなど、一昨年起きた児童虐待死と重なる状況もいくつも見られます。あのとき、区議会では集中審査を行い、私たち江戸川ネットも具体の提案をしました。一人の人間として子どもと向き合うために「子どもの権利」を学び直すこと、学校と家庭をつなぐ専門家・スクールソーシャルワーカーの活用、覚悟のない妊娠・出産を回避する性教育などです。当初、区は、関係者の意識向上で乗り切るとしていましたが、その後、対応する人員を増やすなど、やはり体制強化を図ることに。子どもの育ち、命に係わる危機管理は子ども家庭部、健康部、生活振興部、教育委員会などを横断し、区をあげて取り組むべき重要マター。それぞれ責任回避となってはならず、ここでも一元化が重要。一昨年再構築したはずの「子ども家庭支援センター」を核としたその体制が再度問われることは必至です。
放射能汚染への危機管理についても、区の対応の不十分さは否めません。学校や保育園施設でも、特に側溝などでの線量の高さは周知の事実。こうした状況から、学校にはこの2月、側溝清掃についての注意事項が書面で通知され、保育園には、園長会(全係長会)で口頭通知がなされています。側溝清掃は通常清掃の一環として実施されており、一昨年までは、側溝清掃で出た汚泥は、量の少ない保育園では、ごみや木屑などを取り除いてから園庭に戻されていました。が、昨年からは産廃業者に引き渡しており、23年度は26園分の汚泥が引き渡されました。教育委員会関係では、26校と1幼稚園です。
産廃業者は区内で唯一汚泥を取り扱っている事業者1社。危機管理室への聞き取りでは「事業者が独自の引き取り基準を設定しており、それより高いと引き取り不可となるが、これまですべて引き取られている。その基準は3月までは6000㏃/kg、4月からは3000㏃/kg」。基準を変えた、その判断を事業者に聞いたところ「昨年からずっと3000㏃/kg。区もわかっているはず」と回答にズレが。
「危機管理」は自然災害のみにあらず。とかくハード対策に力点を置きたがる江戸川区ですが、日常の、命に寄り添う「危機管理」を強化しなければなりません。