学校栄養士一括委託で責任の所在が明確になる?

開かれない栄養教諭への道

12月の文教委員会において、区教育委員会は「今後も全校に一人の栄養士配置を堅持。食材についてもこれまでどおり、学校近隣からの調達を継続、納入業者は変えない。区外や関連会社からの調達はない」と改めて説明。栄養士と調理業務を別の事業者に委託することについては「指示命令系統に課題が残ることから、栄養士も含めて給食業務を一括委託することで、責任の所在を明確にできる」としました。指示命令については確かにその通りですが、後段の説明については、それが栄養士の瑕疵であろうと、調理士の瑕疵であろうと、給食事業の責任は設置者である自治体にある以上、説得力に欠けるものです。

学校栄養士は、教科や家庭科の調理実習など、授業内容に「食」に関連した項目があるとき、また、給食時間を使った栄養指導などにより、「食育」に関わっています。この「食育」を単独で実施できるのは、平成17年度に新設された栄養教諭であり、学校栄養士の場合は担任や専科教員などと一緒に行うこととされています。「委託」の場合、指揮命令ができないことから、教員と民間栄養士との協働による「食育」の授業に問題はないかが問われるところですが、江戸川区では、英語のALTなどと同様のケースとし、問題はないとしています。

栄養教諭についても東京都の課題を以前指摘しました。平成17年に新設されたものですが、なかなか広がらなかった状況を受け、文部科学省は平成19年「栄養教諭の配置促進について」を通知。現職の学校栄養職員の栄養教諭への円滑な移行促進が望ましいとし、その旨自治体に依頼しています。東京都はこの通知の翌年、20年度から配置しました。

国としては、3年以上の勤務経験を有する学校栄養職員については、栄養教諭免許授与要件を軽減。都道府県が実施する免許法認定講習への経費補助を踏まえ、適切な講習を実施することで、希望するすべての学校栄養職員が移行できるための配慮を求めました。「公立義務教育諸学校の学級編成及び教職員定数の標準に関する法律」では、両資格者を一つのカテゴリで算定。学校栄養職員が栄養教諭に任用替えとなった際の給与上の差額分の一定部分については、義務教育費国庫負担金制度を通じて措置されます。

東京都では、栄養教諭への移行要件を在職12年以上と、国の方針の4倍もの設定をしており、今年全国で3853人の栄養教諭が誕生している中、都内ではわずか36名。江戸川区にも1名しかおらず、各市区1名の配置にも至っていない状況です。

学校栄養士が栄養教諭になる道は開かれているものの、民間栄養士はこの対象にはなりません。が、そもそも、区費採用の学校栄養士も対象外であることがわかりました。こうした課題についても改善が必要です。